研究課題/領域番号 |
21K03261
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
中津 了勇 摂南大学, 理工学部, 教授 (10281502)
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研究分担者 |
高崎 金久 大阪公立大学, 数学研究所, 特別研究員 (40171433)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グロモフ-ウィッテン不変量 / タウ関数 / 可積分階層 / 位相的頂点 / 量子トーラス代数 / 量子スペクトル曲線 / リーマン-ヒルベルト問題 / モノドロミー保存変形 |
研究実績の概要 |
複素ケーラー多様体のGromov-Witten不変量やそれを含むコホモロジー的場の理論、結び目不変量を与えるChern-Simon理論、ランダム分割などの確率モデルは可積分系研究の観点から見ても極めて興味深い研究対象である。本研究では、Hodge積分、ランダム平面分割、結び目不変量など様々な数学が交差する位相的頂点の方法を題材にして、全種数 Gromov-Witten 理論の可積分構造の解明を目標にしている。Donaldson-Thomas理論のRiemann-Hilbert問題を全種数Gromov-Witten理論に適用できる形式に整備して、位相的頂点の方法からのRiemann-Hilbert 問題の解法を探究しており、壁越え公式や Barnes 多重ガンマ関数などの構成要素を位相的頂点の方法と整合させて、Bridgeland のタウ関数の可積分構造の理解に迫る。これらの課題に主に代数解析学の方法によって取り組んでおり、 可積分系の代数解析的研究で用いられる、Schur 関数、無限次元 Grassmann 多様体、 フェルミオン・ ボゾン Fock 空間、 ホロノミック量子場、 無限次元 Lie 代数などを主な道具として研究を進めている。現在のところ、Bridgeland のタウ関数が Witten-Kontsevich のタウ関数の一般化であるのか明らかにするため、 コニフォールドのRiemann-Hilbert 問題とモノドロミー保存変形の解を演算子形式による表示を求めることにより、両者の可積分構造を精査している。 Barnes の多重ガンマ関数との関連も視野に入れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Bridgeland のタウ関数は、GW/DT 対応を通して、Witten-Kontsevich のタウ関数の一般化であると予想している。現在はコニフォールドの場合の可積分構造の研究を中心に据えて進めている。徐々に成果が上がりつつあるのが現状である。高崎は昨年度から引き続きGW不変量に関連する可積分階層について考察を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
位相的頂点の方法によると、非コンパクト 3 次元トーリック Calabi-Yau 多様体 X の量子スペクトル曲線はq-差分演算子で記述できる。現在の研究をさらに進めて、量子スペクトル曲線と X の Donaldson-Thomas 理論に現れるモノドロミー保存変形の関係を具体的な個別の事象について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
主たる理由は次の2点である。予定していた海外出張について、スケジュール調整がつかず研究打合せを中止したこと、出席予定の国際研究集会のオンライン参加が可能になったこと。また、購入予定のノートPCの年度内の納品の目処が立たず注文をキャンセルしたため。次年度の使用計画としては、研究打合せの海外出張(米国・カリフォルニア大学デービス校、その他)を予定している。
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