研究課題/領域番号 |
21K03262
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
黒木 慎太郎 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (90433309)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | GKMグラフ / 同変コホモロジー / トーリック超ケーラー多様体 / GKM多様体 / 同変ベクトル束 |
研究実績の概要 |
研究期間初年度にあたる今年度の成果は、leg付きのGKMグラフという非コンパクトなGKMグラフを導入し、それに関する結果に関して2つ公表し出版できたことである。 1つ目は、toric hyperKahler多様体のGKMグラフの対応物にあたるT^*C^n上のT^{n+1}作用をモデルとしたleg付きのGKMグラフというものを導入し、その同変コホモロジー環を計算した結果をarXivに投稿した(この結果は2023年度になって掲載受理された)。この結果は15年ほど前に出した結果を含むものであったが、当時の証明に間違いが見つかったので最近まで研究が停滞していたものであった。Indian Institute of TechnologyのUma氏が興味を持ってくれたこともあり、Uma氏とともに証明を修正し、さらにT^*C^n上のT^{n+1}作用をモデルとしたleg付きのGKMグラフの組み合わせ構造から定義されるshellingと呼ばれるある種の分解を用いて(Morse理論の双対と思うこともできる)、加群の生成元も決定することができた。また、そこで定義された生成元の構造定数も特別な場合にけっていすることができた。 2つ目は、GKM多様体上の同変ベクトル束をGKM理論の視点で見た、GKMグラフ上のベクトル束という概念を導入し、その射影化を組み合わせ論的に定義し、それに関するLeray-Hirshの定理及びBorel-Hirzebruchの公式を証明することができた。この結果は数理解析研究所講究録にアナウンスした。現在はSolomadin氏とともに査読付きの論文に出版するために執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、コロナ禍が続いていることもあり出張等は一切できなかったが、zoomやメールによるやり取りで論文を出版することができた。特にleg付きのGKMグラフの概念は拡張作用を考えるうえでも重要であると考えているので、少し本研究計画とはずれてしまうがleg付きのGKMグラフに関して懸念だった結果を論文にまとめることができて査読付きの論文に掲載受理されたのは大きな進展であると思う。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、今までのように着実に研究を進めていきたい。特にSolomadin氏と行っている同変ベクトル束の研究や、Karshon氏と行っているトーラス多様体の分類に関する研究、松村朝雄氏と行っているGale dualに関する研究を研究期間中に完成させることを目標に進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021度は、研究集会の開催や研究集会の参加等の計画をしていたが、コロナ禍によってすべてオンラインに変更になったため。
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