研究課題/領域番号 |
21K03268
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
米田 力生 金沢大学, 学校教育系, 教授 (70342475)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 関数論 / 作用素論 / Bergman空間 / ディリクレ空間 / ベリジン変換 / 合成関数 / 閉値域 |
研究実績の概要 |
ベルグマン空間上の特殊なシンボルを持つテープリッツ作用素の積がいつフレドホルム作用素になるのかに関する研究として代表的な結果が1998 年にSheldon Axler とDechao Zheng によって逆カールソン不等式を利用して特徴付けられた。しかし、「一般のシンボルを持つテープリッツ作用素がいつ閉値域を持つのか、いつ可逆になるのか」に関する研究は、現在殆ど知られておらず、未解決問題として残されている。この問題解決のためにもベリジン変換を利用できないかということは自然な考察であるが、そこにはかなりのギャップがあり、そのような結果は未だ知られていない。そこで、今回は先ず掛け算作用素がテープリッツ作用素の特殊な場合であることに着目し、ベリジン変換を利用した掛け算作用素の解析を行い、その結果を一般化するという方法で可逆なテープリッツ作用素の解析を進めていった。また、可逆作用素及びフレドホルム作用素となる合成作用素に関する研究も同様の手法で解析を進めていき、これまでに複数の研究論文としてまとめ上げ、投稿中である。更に、今回えられた結果をヒルベルト空間上及び多変数上の理論に応用する研究にも着手し、秋の研究集会にて発表する予定である。また、同時進行で、合成作用素がいつ閉値域を持つのかという研究、積分作用素がいつ閉値域を持つのかという研究も行い、そこで得られた結果は複数の論文雑誌に投稿し受理され掲載予定である。また新しい解析空間を定義し、その空間上でvoltera 型の積分作用素を定義し、その作用素がいつ有界になるのか、いつコンパクト作用素になるのか、そしていつ閉値域を持つのかという研究も行い、現在、検討を重ね秋の研究集会にて発表予定であり、それを更に精査して投稿も予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ過のため、研究打ち合わせおよび研究発表等の出張が出来たなかったため、当初の予定よりも遅れ気味ではあったが、その分、研究自体に集中できたことで、予定以上の成果を論文にて投稿でき、それが掲載決定になったため、おおむね順調に研究は進展していると判断できます。
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今後の研究の推進方策 |
研究を計画通り進めていく上で岐阜大学の山田雅博・教授と、「カールソン測度を利用 したテープリッツ作用素の解析」に関する意見交換必要となる。そして岐阜大学の山田雅博・教授にはテープリッツ作用素の具体例の収集と過去の文献収集を担当してもらう。また北海学園大学の山本隆範・教授と、「閉値域を持つテープリッツ作用素とスペクトルの関係」に関する意見交換が必要となり、複数回の研究打ち合わせを予定している。そして北海学園大学の山本隆範・教授らには、ヒルベルト空間上の作用素スペクトルの基本性質に関する情報提供と最新の論文収集を担当してもらいながら、現在進行中の研究を更に進めていくことにしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ過により、予定より出張等が出来なかったため使用額が生じた。
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