研究実績の概要 |
ハーディー空間上のテープリッツ・合成・掛け算作用素の可逆性、それらのスペクトル及びフレドホルム作用素の特徴付けに関して、大部分は研究が進み、工学にも広く応用されている。しかし拡張された空間であるベルグマン空間(荷重付きディリクレ空間)上では、まだ殆ど研究が進んでいない。特に、「テープリッツ作用素の積がゼロになる際、その二つのシンボルのどちらか一方がいつ0になるか」「ベリジン変換の下限が正の時、いつテープリッツ作用素は可逆になるか」「ベルグマン空間上で作用素がいつ可逆作用素になるのか」「ベルグマン空間上で作用素はいつフレドホルム作用素になるのか」に関する特徴付けは、未解決問題として残されている。そこで、この未解決問題を研究目標の中心に据え、「ベルグマン空間上で可逆になるテープリッツ・合成・掛け算作用素の解析」及び「ベルグマン空間上のテープリッツ・合成・掛け算作用素のフレドホルム作用素の解析・スペクトルの解析」「ヒルベルト空間上のテープリッ ツ・合成・掛け算作用素の可逆性・フレドホルム指数・スペクトルの解析」を行った。その第一歩として、ベルグマン空間上で定義される作用素の有界性・コンパクト性・シャッテンクラスに属することが、対応した作用素のベリジン変換と深く関わっていることに着目し、ベルグマン空間上の作用素のベリジン変換の解析を行う。ここで一般的なヒルベルト空間$H$上の作用素$T$ のベリジン変換とは、H上のreproducing kernel k_z に対し、T(z) =< T k_z, k_z > と定義されるものである。 具体的な研究の進め方としては、先ずベルグマン空間上の作用素のベリジン変換の性質を解析し、幾つかの結果を得た。
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