現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マリアバン解析などの解析的な手法を用いることができない、初到達時刻や逆局所時間過程の分布の密度関数について一定の成果をあげることができた。また、本研究で得られた逆フーリエ変換の手法を用いると、密度関数の滑らかさなどの結果が得られることが期待できる。 エレファントランダムウォークについて、Berry-Esseen型の評価が知られている(Fan, X., Hu, H., and Ma, X. (2021)). その評価においてpが1/2の前後で収束の速さに差異が出てくることが予想されていた。本研究により、モーメント収束の形であるが、明確な形で収束のオーダーに差異が現れることを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
CME+分布について、複合ポアソン分布の場合は原点周辺での有界性について、一定の結果が得られたが、絶対連続である場合には、原点周辺の有界性について明白な結果が得られていない。今後の課題として取り組みたい。また、ドリフト項を持つ場合や、分布の台が負の領域にも広がる場合に、今回得られた研究成果と同等の評価などが得られるか検討する。
エレファントランダムウォークについて、pが3/4より大きいときは、エレファントランダムウォークを適当にスケール変換すれば、ある確率変数に概収束することが知られている(Bercu, B., Chabanol, M.-L., and Ruch, J.-J. (2019)). この確率変数の分布の性質はまだあまりよく知られていない。また、この確率変数との誤差は正規分布に収束することが知られている(Kubota, N. and Takei, M. (2019))が、この場合のモーメント収束の速さについてもまだ知られていない。今後はこのような課題に取り組む。
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