研究課題/領域番号 |
21K03277
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
金子 宏 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (90194919)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | チップファイアリング / リーマン・ロッホの定理 / 荷重付きグラフ / マルコフ過程 / ディリクレ形式 |
研究実績の概要 |
単行本 Advances in Non-Archimedean Analysis and Applications : The p-adic Methodology in STEAM-H が, 「A Riemann-Roch Theorem on Infinite Graphs」 という題目の代表者が著者に含まれる共著論文を含む形で2021年12月2日に刊行された.内容は局所有限な無限グラフでのリーマン・ロッホの定理が得られたことについてである.年度の初めに集中的に研究を行ったところ,超距離空間においてのリーマン・ロッホの定理の証明が見出されたので,その内容について,オンライン研究集会「Eighth international conference on p-adic mathematical physics and tis applications 」に於いて 「Chip-firing on ultrametric space and Riemann-Roch theorem」という題目にて,2021年5月26日に講演を行った.さらにオンライン研究集会「2021年度多変数関数論冬セミナー」に於いて,「超距離空間におけるチップファイアリングとリーマン・ロッホの定理」という題目で,2021年の12月9日に講演を行った.これらの成果は,いずれも慶應義塾大学の厚地淳氏との共同研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
完全グラフにより汲み尽くされる無限グラフにおいて,リーマン・ロッホの定理が成立するとは,既存のリーマン・ロッホの定理に関する研究が,有限グラフか局所有限グラフであることから困難だと考えていたが,チップファイアリングを構成する基本的な関数族を,超距離空間における確率過程の構成定理において以前代表者が採用していた二乗可積分な関数族としておけば局所有限グラフで良いことがわかったので,研究計画当初から念頭においていた困難を克服する方法が見出せたといえる.このような困難の克服がなされ得ないという想定に基づき研究計画が設定されていたので,当初の研究計画に含まれていなかった方向とは別方向ではあるが,当初の計画と同等程度の進展があったと言える.
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今後の研究の推進方策 |
無限完全グラフは概ね正の曲率をもたせうるグラフと捉えられている一方,無限グラフとしてのツリーは概ね負曲率をもたせうるグラフとのコンセンサスが得られているようである.これらは,それぞれ局所有限ではないグラフと,局所有限性があるグラフの代表例である.曲率との関係においてどういう場面でリーマン・ロッホの定理が主張されるか,などを幾何学的,もしくは複素関数論的に考察することを目標の1つにしうる状態にまでなってきている.これを念頭に当初の研究計画を適宜柔軟かつ発展的にみなおし,引きつつき初年度の研究成果を踏まえて今後の研究を遂行していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染防止が各研究機関で,厳格に実施されたため,旅費など対面で行う研究活動のための経費がかからなかったため.これを2年度目以降の対面を含む研究活動等に費やす方向を基本とし,有効に活用する.
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