研究実績の概要 |
本研究は, 走化性方程式という生物の集中現象を記述する数理モデルを研究対象としている. 特に,方程式の解が時間大域的に存在するかどうかという問題に対して, 方程式に現れる関数や定数に対してどのような条件を課せばよいかということを明らかにしていく. このような問題は, 様々な設定の下で様々な研究が分散して行われているのが現状であり, それ打破するような研究を目指している. その中には, まだ解明されていない問題の解決も含まれている. 2021年度は,次の2つの研究を中心に実施した.
研究1.誘引反発型走化性方程式系の解の挙動に関する研究 研究2.ロジスティック項をもつ退化型走化性方程式系の解の爆発に関する研究
研究1については,大学院生の千代祐太朗の協力により,誘引項と反発項の強さを表す指数や係数の大小関係により,解の挙動を完全に分類することができた。研究2については,大学院生の田中悠也の協力により,非退化型拡散の場合からの極限操作によって難点を回避することができ,解の正則性や一意性が保証されていない状況下での解の爆発に対する新しい手法を構築することができた.いずれの研究に対しても,得られた成果を論文にまとめ,専門誌に投稿し掲載が決定した.また,「RIMS研究集会 発展方程式の広がり:理論的基礎から実践的応用まで」,「2021年度日本数学会年会」などで研究成果を発表した.さらに,ドイツ・パーダーボルン大学のFrederic Heihoff氏との共同研究を実施し,拡散項と走化性項をもつ捕食者・被食者モデルの解の挙動を決定した.
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