研究課題/領域番号 |
21K03280
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
戸松 玲治 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70447366)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | von Neumann環 / C*環 / テンソル圏 / 量子群 |
研究実績の概要 |
今年度は引き続きC*テンソル圏Cの単射的von Neumann環Mへの作用αの不変量を考察した. Mの連続接合積von Neumann環をN,αのNへの標準拡大をβと書くとき,βの生成する多重W*テンソル圏DとN上の実数群作用(flow)の組が完全不変量である,というのが予想である. この予想に関しては,これまでの研究でMがIII_1型因子環の場合は満足のいく結果を得ている.その場合にはNがII_∞型因子環であり,多重テンソルW*圏DはC*テンソル圏となる.そのためflowを加えて考察せねばならないものの,おおまかには従来の分類手法(テンソル圏作用のRohlin性とコホモロジー消滅)を用いることができる.ところがMがIII_1型でない,たとえばIII_0型である場合は,Nに非自明な中心環があり,そこにflowがエルゴード的に作用しているのだが,このように簡単にいかず事態はずっと複雑になる.Dの対象Xに対して, Xの「グラフ」を考えることで,ある意味で測度つきのW*2圏の作用が因子環の場に起きていると見なして研究することが可能かどうかを見極めることが今後の課題である.具体的にはグラフの元γの作用β_γは一般的には既約ではない.これの既約分解をW*2圏に加えなくてはならないはずであり,ここに浜地-幸崎の分解が自然に現れるはずだと考えている.しかしこの既約分解はflowについて同変的ではなく,対称群値のコサイクルが出てくるはずであり,Dをさらに拡張した2圏を導入することも検討する必要があるだろう.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標準拡大をした自己準同型の分解の記述について進展があったため.
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今後の研究の推進方策 |
標準拡大をした自己準同型が可換相対可換子環をもつ場合がもっとも興味のある場合である.このときはbaseとなっている測度空間に有限点を直積した空間を考えて,flowから来るコサイクルの情報を入れた枠組みで2圏を大きくすることを考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症のため海外出張にいかなかったため.
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