研究課題/領域番号 |
21K03285
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
細川 卓也 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (90553579)
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研究分担者 |
瀬戸 道生 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 総合教育学群, 教授 (30398953)
阿部 敏一 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (40749157)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 荷重合成作用素 / Hardy空間 / Bergman空間 / 有界性 / コンパクト性 |
研究実績の概要 |
(1)これまでの先行研究では、Bergman空間及びHardy空間の間の荷重合成作用素の有界性やコンパクト性を、強い仮定条件の下で、シンボル関数の角微分を用いて表現するものが多く、シンボル関数の重複度が考慮されていない。研究代表者は、先行研究で仮定されている条件を外した場合、角微分の条件が成立しても荷重合成作用素がコンパクトでないような例を構成した。従って、今後、仮定条件を課さない場合の研究を展開するには、シンボル関数の重複度も込めて表現したNevanlinna関数の一般化を用いる必要がある。この一般化Nevanlinna関数の境界挙動に関する先行研究は60年代から70年代にかけて散見される。研究代表者はこれらを調査し、情報収集を行っている。 (2)研究代表者は、荷重合成作用素の挙動は、その定義域を対応する荷重関数を込めた関数空間に取り換えた場合の(荷重のない)合成作用素の挙動としてとらえることが出来る、という知見に至った。この「荷重関数を込めた関数空間」は荷重Bergman空間の一種ではあるが、荷重関数がradial(半径方向で一定)になっていない。荷重Bergman空間の先行研究は数多くあるが、研究代表者が知る限り荷重がradialの場合がほとんどである。従って、non-radialな場合を含めた荷重Bergman空間の理論を再構築する必要がある。研究代表者は、大同大学の田中清喜氏との研究打ち合わせを行い、non-radialの場合の問題点について議論した。 (3)単位円板上の関数空間の離散化に相当する対象に、グラフ上の関数空間がある。研究代表者は、グラフ上の関数空間上の荷重合成作用素の研究を行ってきたが、これをさらに一般化した荷重付きの関数空間の場合に、荷重合成作用素の有界性とコンパクト性を含めた研究成果を得た。(投稿準備中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初は想定していなかったnon-radialな荷重Bergman空間の研究の必要性は、困難な部分もあるが、新たな研究成果を得られる余地が多くある。 一方で新型コロナウイルスの感染症対策のため、研究打ち合わせが遅れてしまった。 以上を総合して、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記の【研究実績の概要】で述べた(1)について、値分布論の分野も含めた情報収集を続けていく。そこで得られた知見を、本研究にフィードバックさせていく。 (2)については、引き続き大同大学の田中清喜氏との連絡を密に取り、non-radialの場合の荷重Bergman空間の理論を構築していく。 (3)については、離散的な関数空間上の荷重合成作用素について得られた成果を、単位円板上の荷重Bergman空間の場合に適用できるか考察していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】研究集会や研究打ち合わせの出張予定の多くが新型コロナウイルスの影響で取り止めになったため。
【使用計画】令和4年度の本来の計画に併せて、令和3年度に予定していた研究打ち合わせも出来る限り実行する。
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