研究課題/領域番号 |
21K03294
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
井上 順子 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 教授 (40243886)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 可解リー群 / 非可換調和解析 / Lp-フーリエ変換 / 複素解析的誘導表現 / ユニタリ表現 |
研究実績の概要 |
指数型可解リー群の複素解析的誘導表現:指数型可解リー群に対して、リー環の線形形式fとfに付随する交代双一次形式に関する(polarizationとは限らない一般の)等方的複素部分リー環hをとり、複素解析的誘導表現ρを構成し既約分解を調べる問題については、分解に関わる既約表現における、h-半不変な一般ベクトルに付随する行列要素の解析に重点をおいて研究を進めた。対象とする各既約表現をKirillov-Bernat対応に基づき実polarizationからのMackey誘導により等質空間上のL^2関数の空間に実現し、複素解析的誘導ρが定めるhの作用に対し半不変性をもつ一般ベクトルおよびその行列要素を介して既約分解を記述するという方針である。低次元の群における例など、群の代数的な構造を具体的に与えたこれまでの計算例においては、既約表現の表現空間においてh-半不変ベクトルを具体的に記述でき、表現ρが零表現でないための条件やρの既約分解をそれぞれ求めることができる。一方、これまで得られた計算結果において、表現と余随伴軌道の関係はかなり複雑である。また、超関数の意味での「フロベニウス相互律」は成り立つ場合と成り立たない場合がある。これら一連の計算例について2023年9月開催の大阪公立大学でのworkshop、および2023年11月開催のモナスティル(チュニジア)での研究集会において講演発表・議論を行い、さらに考察を進めているところである。 Lpフーリエ解析:ユニモジュラー、I型局所コンパクト群上のLpフーリエ解析については、前年度に行ったBaklouti氏(スファックス大学)との研究議論に基づき、一般のユニモジュラー群拡大を対象にLpフーリエ変換のノルムの上からの評価の改良を目指して計算を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Lpフーリエ変換のノルム評価については、前年度に引き続き一般のユニモジュラー群拡大を対象に研究を進めているが、一般化に伴う計算や証明の細部の検討に時間がかかっている。また、複素解析的誘導表現の構成と分解における「相互律」の問題については、各計算例において余随伴軌道との関連が複雑で未整理の状態であり、今年度の段階ではまだ十分に一般性のある結果が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
Lpフーリエ変換のノルム評価については、引き続き一般のユニモジュラー群拡大を対象として、ノルム評価の改良を目指す。これまでの研究でコンパクト拡大に対して得られた結果を一般のユニモジュラー群拡大に拡張することを目標とする。 複素解析的誘導表現の研究では、冪零および指数型可解リー群における様々なクラスの群を取り上げ、既約表現の表現空間における半不変一般ベクトルの空間の決定とこれに付随する行列要素の具体的な計算を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
出席する計画だった研究集会のうち、日程の都合がつかなくなり、参加をとりやめたものがある。その結果、未使用額が生じた。次年度は雑誌・文献等による情報収集に加えて、国内外の研究集会に参加し、表現論・非可換調和解析関連分野における研究交流・研究情報の収集を行い、本研究課題を遂行する。これらの費用を本年度未使用額を合わせた本研究費から支出する計画である。
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