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2023 年度 実施状況報告書

地形の影響を受ける浅水波の漸近挙動解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K03305
研究機関東京海洋大学

研究代表者

大縄 将史  東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (10443243)

研究分担者 鈴木 政尋  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30587895)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード選音速流 / 不連続点 / 漸近安定性
研究実績の概要

本研究課題においては、地形の影響を受ける浅水方程式系の研究を進めている.この方程式系は,山越え気流や河川流を直接の対象とするが,太陽風やノズル内の気流にも関連が深い.なかでも、風が山を越える過程や水が堤防や堰を越える過程で加速される現象や、その下流にhydraulic jump(跳水)と呼ばれる不連続を持つ系の数学的な解析に取り組んでいる.流体力学的には、山頂より風上側の亜臨界流が山を越える際に連続的に超臨界に加速され,山の風下側で不連続に亜臨界に戻ることと解釈される.
これまでは有界区間での浅水方程式や気体の流れの漸近安定性を示してきたが、本年度は摩擦を含む系が半空間において持つ定常解の安定性の問題に、これまでに開発してきた手法を応用した。それによってこれまで勾配が小さい場合に限定されていた定常解の安定性に関する成果をより一般の場合に拡張できることが見込まれる。
さらに、その過程でこれまでの証明で複雑な計算を要したいくつかの箇所を簡単にすることができることを見出し、執筆中の論文の改良を進めている。
また、津波や洪水のように、初期に水のない場所へ水が流れてゆくような状況について数値計算によってシミュレーションを行った。とくに、堤防を越えるような流れについては、堤防の頂上部では水の到達とほぼ同時に定常状態に達し、定常状態に一致する流れ場が堤防の前後に伸びてゆく様子が見出された。これは、局所的にリーマン問題を解くことによる定性的な説明と整合的であった。数学的に厳密な解析はまだ困難な情勢であるが、実用上極めて重要な現象であり、今後も本研究の成果を応用してこのような解析が困難だった流れ場に適用範囲を広げてゆきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

有界区間の場合だけでは境界に現実的とは必ずしも言えない境界条件を設定するケースもあったが、非有界区間のケースも取り扱えることで問題設定がより現実的で応用範囲が広がった。

今後の研究の推進方策

現在、半空間の問題への取り組みを進めているが、全空間の問題に挑戦し、定常状態以外の特徴的な流れの構造がどのように維持されているかを解明したい。

次年度使用額が生じた理由

予定していた研究打合せが急な事情で見送ることを余儀なくされ,また,隔年開催の大型研究集会が新型コロナウイルスの流行で開催年がずれたため次年度使用額が生じた.今年度はそれらの研究打合せや研究集会への出席を予定している.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] 流体系におけるなめらかでない解の安定化機構2023

    • 著者名/発表者名
      大縄将史
    • 学会等名
      数学と現象:Mathematics and Phenomena in Miyazaki 2023
    • 招待講演
  • [学会発表] Synchronization in a model system of two bubbles2023

    • 著者名/発表者名
      大縄将史
    • 学会等名
      10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics
    • 国際学会
  • [学会発表] 音波を介して相互作用する微小気泡の挙動解析2023

    • 著者名/発表者名
      大縄将史
    • 学会等名
      京都大学応用数学セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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