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2023 年度 実施状況報告書

非双曲型力学系の研究:数値解析と理論研究の協同

研究課題

研究課題/領域番号 21K03320
研究機関一橋大学

研究代表者

篠原 克寿  一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (50740429)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード非双曲型力学系 / 部分双曲型力学系 / アトラクタ
研究実績の概要

23年度は,準備をすすめていた論文 "A mechanism for ejecting a horseshoe from a partially hyperbolic chain recurrence class" が雑誌 "Ergodic theory and dynamical systems" に受理され,オンラインではすでに公開された.この論文は,3次元の部分双曲型力学系で,partially hyperbolic filtrating Markov partition という位相幾何学的な情報が与えられたものに対し,微小摂動を与えることで鎖回帰類にどのような分岐が生じうるかを調べたものである.より具体的には partially hyperbolic filtrating Markov partition は組み合わせ論的には有限型のサブシフトの構造を持つが,適当な条件の下でこのサブシフトの特定の部分をある程度の複雑さを保ったまま,新しい鎖回帰類を構成することができる,ということを本論文では記述した.この結果の簡単な応用として,仮定を満たす力学系はC1-通有的に非周期類を持つ,ということを証明した.これはこれまでの「このような力学系はC1-通有的に野生的である」という結果を深めたものであり,意義深い.
この論文で発展させた技術は,部分双曲型力学系の鎖回帰類の分岐理論に関して広範な応用を持つと考えられる.その応用の一部を論文 "Aperiodic chain recurrence classes of C1-generic diffeomorphisms" をまとめ,現在投稿中である.
23年9月に華中科技大学のXiaolong Li氏と研究打ち合わせを行い,非双曲型力学系の指数問題について議論を行った.Step skew product のような toy model に対しては一定の進展を見たが,まだ具体的な結果を得るには至っていない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

二つの論文 "A mechanism for ejecting a horseshoe from a partially hyperbolic chain recurrence class" および "Aperiodic chain recurrence classes of C1-generic diffeomorphisms" で部分双曲型力学系における分岐理論を展開し,非双曲型力学系における分岐の複雑さを具体的な形で記述することができた.非双曲型力学系の構造及び分岐の分析という当初の予定は十分な形で展開できたと思われる.ただ当初予定よりも深い結果が得られた,というわけでもないので,おおむね順調に進んでいる,との評価とした.

今後の研究の推進方策

論文 "Aperiodic chain recurrence classes of C1-generic diffeomorphisms" を含め,これまで得られた結果の内容の周知を様々な研究集会での発表などを通して行う.また,部分双曲型力学系の指数問題に関する議論を,様々な研究者との討議を通じて深めてゆく予定である.

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた海外国際研究集会の参加が中止となったため.24年度に別の国際研究集会に参加し,研究内容を周知する予定であり,このための費用として使用をする見込みである.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [国際共同研究] ブルゴーニュ・フランシュコンテ大学(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      ブルゴーニュ・フランシュコンテ大学
  • [国際共同研究] 華中科技大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      華中科技大学
  • [雑誌論文] A mechanism for ejecting a horseshoe from a partially hyperbolic chain recurrence class2023

    • 著者名/発表者名
      BONATTI CHRISTIAN、SHINOHARA KATSUTOSHI
    • 雑誌名

      Ergodic Theory and Dynamical Systems

      巻: online ページ: 1~63

    • DOI

      10.1017/etds.2023.76

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2024-12-25  

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