研究成果の概要 |
空間3次元で標準的な零条件を満たさず, 二つの波の伝播速度は同一であるが, もう一つの波の伝播速度がそれとは異なるような3成分の半線形波動方程式系の初期値問題を考察した. 小さくなめらかな初期値に対して時間大域解が存在するための十分条件である零条件が破綻しているために時間減衰が遅い成分が混ざり, その成分とは伝播速度が異なる成分との相互作用における時間減衰の得の観測が至難の業となる. 方程式系と初期値が球対称である場合に限るものの上述の相互作用を入れた系を考察して, 小さくなめらかで球対称な初期値に対して, 一意的な時間大域球対称解の存在を示した. 空間1次元における関連する問題も考察した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
空間3次元における非線形波動方程式系の初期値問題が, 小さくなめらかな初期値に対して時間大域解をもつための非線形項の形状に関する条件として知られる零条件は, あくまでも十分条件であり必要条件ではない. そこで, 零条件が破綻しているものの, それでも小さくなめらかな初期値に対して時間大域解が存在するような非線形項にはどのようなものがあるのかを追求する方向で研究を進めてみた.
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