研究課題/領域番号 |
21K03336
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坪井 明人 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (30180045)
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研究分担者 |
竹内 耕太 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50722485)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | モデル理論 / 有限数学 / 一様列 |
研究実績の概要 |
モデル理論において,独立性概念の研究は重要な分野を形成している.数学的に重要な代数的独立性,線形独立性などは,別個のものとしてではなく,モデル理論的独立性の特別な場合として統一的に扱うことができる.独立性概念は技術的には,その否定,すなわち従属性概念の否定によって表現される.最初にdividingの意味での従属性が定義され,forkingの意味での従属性はdividingを通して定義される(forkするとは,有限個のdivideする論理式で被覆されること). この二つの従属性は,安定な理論,単純な理論では一致することが知られている.またこの分野の最近の研究により,それ以外の重要な理論でも一致が示されている.しかし一致しないある意味例外的な理論も存在し,それらを研究することは従属性概念の研究の上で重要と思われる.今年度の研究で得られたことは,新しい例として,次を見つけたことである: (*) 3変数述語記号Rを用いてhypergraphを表現して,4面体T^4を考えるとき,T^4を排除するrandom hypergraphはSU-rank=1の単純理論を持つ.しかし4面体からRによる1面を除いた穴のあいた4面体T^{4-}も考えて,T^4およびT^{4-}の両方を排除するrandom hypergraphを構成すると,その理論は単純とはならず,forkingとdividingという二つの従属概念が異なる概念となる. 今後の研究では,新たな例を見つけると同時に,二つの従属性概念が異なるための,モデル理論的に見やすい必要十分条件を発見することを目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この分野に興味を持っている研究者とはZoom等の手段を用いて連絡をとっているが,対面での議論を代替するまでにはゆかず,結果の評価・解析が遅れている.コロナも収束の方向になると思われるので,今年度は研究の遅れを取り戻したいと考える.
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今後の研究の推進方策 |
数学的な面からは,一様列の構成に新たな視点を導入することを目指す.一様列の存在証明においてRmaseyの定理を用いるもの,coheir列を用いるものがある.coheir列を拡大モデルの中に作り,それの近似列を内部に作るという方針で,Ramseyの定理を強化した形が得られることをすでに示してある.この方針を用いて,Erdos-Radoの定理などの無限組み合わせ論(集合論)的結果も導けるのではないかと思っている. 研究を進めるための方針としては,国内の研究者だけでなく,コロナも一定の収束を迎えると思われるので,海外の研究者との研究打ち合わせを密にしてゆくことを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は研究打ち合わせのための出張を,国内外を含めて行う計画でいたが,コロナの影響で難しい状況にあったため,日本数学会などの学会に限り行った.研究集会の開催も当初計画よりは人数と日数を制限したため,必要な旅費等が減少したため,次年度への繰り越しを行う必要性が生じた.
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