研究課題/領域番号 |
21K03339
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
家本 宣幸 大分大学, 教育マネジメント機構, 特任教授 (70161825)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 一般線形順序位相空間 / 辞書式順序積 / Tyconoff積 / 順序数の積空間 / C^*-embedded / P-embedded |
研究実績の概要 |
目標の一つとして一般線形順序位相空間の辞書式順序積とTyconoff積との違いの解明を挙げていたが、Tyconoff積についての結果が得られた。平田・矢島の2017年の論文の未解決問題として「二つの順序数空間の積空間部分空間の閉集合が、その部分空間においてC^*-embeddedであることとP-embeddedが同値であるか?」が問われた。早稲田大学の薄葉氏との共同研究で、この問題の肯定は証明不可能であることを示した。 \omega の無限部分集合の \omega_1-列 \mathcal N=\{ N(\alpha):\alpha<\omega_1\} について、 (\omega+1) \times \omega_1 の部分空間 X_{\mathcal N} =\omega\times \limm \cup (\bigcup_{\alpha<\omega_1}(N(\alpha)\cup\{ \omega\})\times \{ \alpha+1\})について次の集合論に依存する微妙な結果が得られた。 ・X_{\mathcal N} の閉集合 F=X_{\mathcal N}\cap \{ \omega \} \times \omega_1 は P-embedded ではない。 ・F が C^*-embedded であることの必要十分条件は \mathcal N が Property (A) を満たすことである。 ・Property (A) はある種の iterated forcing extensionで成立することが知られているので、このextensionでは F はC^*-embeddedとなり上記問題の反例となる。 ・2^\omega<2^{\omega_1}ならば Property (A) の否定が成立する。従って F はC^*-embeddedではない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の目標である問題I「(一般) 線形順序位相空間の辞書式順序積がパラコンパクト(リンデレーフ) である必要十分条件は何か?」のパラコンパクトについては解決済で既に掲載済みである。本年度の目標である問題II「 (一般) 線形順序位相空間の辞書式順序積について、各ファクターが継承的パラコンパクトの時、積も継承的パラコンパクトか? また、積が継承的パラコンパクトになるための必要十分条件は何か?」についても解決済で既に掲載済みである。本年度はこれら以外に、上記「順序数のTyconoff積の部分空間のC^*-embedded性とP-embedded性」について予定外の結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
予定以上のスピードで研究が進んでいる。今後の研究の推進方策としては、最初の予定通り、問題III「一般線形順序位相空間の辞書式順序積が継承的リンデレーフ(完全、距離化可能、可分) になるための必要十分条件は何か?」についての考察をしたい。一方でTyconoff積についても研究が進んでいるので、辞書式順序積とTyconoff積の違いの解明も焦点としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため、研究集会のいくつかがオンラインとなったため、旅費が余った。コロナが5類に変更され、昨年までオンライン開催が多かった学会や位相空間論や集合論のシンポジウムも次々と対面方式に変更されつつある。また、コロナの間中止されていた本研究代表者の共同研究者である薄葉氏、平田氏、矢島氏や玉野氏らが開催する横浜セミナーも1~2か月に一度程度の割りで復活することとなった。次年度はこれらの会議やセミナーに当初の予定より多く参加し、情報収集する計画である。
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