研究課題/領域番号 |
21K03340
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
鈴木 登志雄 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30235973)
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研究分担者 |
隈部 正博 放送大学, 教養学部, 教授 (70255173)
宮部 賢志 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (00583866)
吉冨 和志 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40304729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アルゴリズム的ランダム性 / 計算可能解析 / 実閉体 / ハウスドルフ次元 / ゲージ積分 |
研究実績の概要 |
鈴木・隈部・宮部によるオンラインセミナーを開催し(2023年6月1回、8月4回、9月1回、10月1回、11月2回、2024年2月1回、3月1回)、宮部による原案を3人で議論して改良し、11月に宮部が代表著者となって論文「Solovay reducibility via Lipschitz functions and signed-digit representation」を学術雑誌に投稿した。プレプリントは宮部のウェブサイト(後述)で公開している。ソロベイ還元は実数同士のランダム性を比較する擬順序で、従来は左c.e.実数に対してはよいふるまいをするがそれより広い範囲では扱いが難しいとされてきた。Zheng-Rettinger (2004)はソロベイ還元の定義を少し修正し、よいふるまいをする範囲を計算近似可能実数へ拡張した。拡張したソロベイ還元を、数列を明示的に使用せず特徴づけることが望まれていたが、我々は11月に投稿した論文で、リプシッツ連続関数を用いてそれを達成した。一方、計算可能性理論で考察される還元概念はユース(クエリーの範囲を示す量)によって特徴づけられるものが多い(例、弱真理値表還元、cL還元など)。11月に投稿した論文ではsigned-digit representation(ビットごとに符号が付いた小数表示)を用いて、ソロベイ還元をcL還元に類似した形で特徴づけた。12月以降のオンラインセミナーでは実閉体の研究を進めた。並行して、鈴木は東京都立大学大学院生とゲーム木均衡値について共同研究を進めた。また、昨年度の実績報告の段階では「巻号未定、掲載決定」となっていた、吉冨による擬微分作用素のフレドホルム性についての論文が出版されたことを受け、あらためて今年度の実績報告書に掲載する。口頭発表は鈴木2件、宮部5件(うち3件は国際研究集会)、吉冨1件である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リプシッツ連続関数についての研究が順調に進展し、その内容について複数の口頭発表(国際研究集会3件を含む)を行うことができた。その後も実閉体についての共同研究が進展した。ゲーム木均衡値については、2023年度末時点で論文執筆中であり、2024年度前半に投稿できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度前半に、実閉体に関する成果を論文にまとめて投稿する。また、ゲーム木に関する鈴木と都立大学大学院生(2024年3月に博士号を取得して卒業)による共著論文も投稿する。2024年度後半は成果発表に比重を置いた活動をしつつ、次の研究の構想を練る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者である鈴木の次年度使用額は5万円台であり、4年間の研究の3年目終了時点の額としては自然な範囲であると考えている。令和6年度に研究分担者に配分する総額は令和5年度配分総額のおよそ半分とするため、研究分担者の次年度使用額は自然に有効活用できると見込んでいる。
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