研究課題/領域番号 |
21K03350
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
新谷 誠 静岡大学, 情報学部, 教授 (70303526)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | グラフ表現 / 分割釣合い型トーナメントデザイン / ハウエルデザイン |
研究実績の概要 |
最適な組合せ対象(離散構造)の存在性とその対象の分類は、組合せ論において基本的な問題であり、グラフ表現がその解決に強力な方法となる。本研究では、既知の分割釣合い型トーナメントデザインの性質を調べて、それを利用することにより、唯一未構成である位数15のデザインの構成を行うことを目的とする。 チーム数2n、会場数n、日程2n-1からなる総当たり戦の対戦表で各チームは1日に1回試合をし、同じ会場では2回以下の試合をし、前半戦と後半戦の各n-1日間では各会場で1回以下の試合をする表を位数nの分割釣合い型トーナメントデザイン(以下、位数 n のデザインと呼ぶ)という。位数15のデザインの存在性のみが未解決問題であり、それを解決することを研究課題としていたが、ある研究者によってプレプリントサーバーに公開されている位数11のデザインの存在性の結果に間違いがあることが判明したので、位数11のデザインの存在性も研究課題に追加することにした。 SeahとStinsonによって求められている位数7のデザインの性質の調査をグラフ表現による方法で行った。その結果、ある性質を仮定することによりその探索範囲を大幅に削減できることがわかった。その性質を仮定したプログラムを作成して実行することにより、位数11と15のデザインを構成することによりその存在性を示すことができた。未発表の位数9のデザインの存在性に関する結果と合わせて分割釣合い型トーナメントデザインの存在性について完全に解決できた。つまり、位数nのデザインの存在の必要十分条件はnが5以上の整数であることが示された。この結果を、日本数学会応用数学分科会主催の応用数学合同研究集会において研究発表を行うとともに、2022年2月に研究雑誌Journal of Combinatorial Designsに投稿し2022年4月に受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に研究計画の一つ目の分割釣合い型トーナメントデザインの存在性について取り組み、存在性について解決済みと思われていた位数11のデザインを含めて完全に解決することができた。また、日本数学会応用数学分科会主催の応用数学合同研究集会において研究発表を行うとともに、2022年2月に研究雑誌Journal of Combinatorial Designsに投稿し2022年4月に受理された。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の二つ目と三つ目に取り組む。 ハミルトン閉路を含まずに任意の一点を取り除いた部分グラフがハミルトン閉路を含むとき、グラフはハイポハミルトングラフと呼ばれる。点の個数が18以上40未満の平面ハイポハミルトングラフの存在性について明らかにする。この範囲では平面ハイポハミルトングラフは非存在であると予想しているので、存在すると仮定して40点以上のグラフが持つ性質を利用して、場合分けによりその存在の可能性を検証する。 トポロジーの離散化版による、グラフ表現の幾何的理論的展開を行う。被覆写像の離散化はグラフ準同型写像において局所的全単射であり、単連結や普遍被覆が定義できる。重要な例として、アダマールグラフから完全2部グラフへの局所的全単射なグラフ準同型写像において、その変換行列からアダマール行列が求められる。多くの未構成な例をスーパーコンピュータの利用により求めて、グラフ表現によりその代数的性質を求める。
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次年度使用額が生じた理由 |
京都大学のスーパーコンピュータの利用について6月開始となったため利用費が減少した。また、研究発表のための旅費が使用できなかったため次年度使用額が生じた。京都大学のスーパーコンピュータを研究に利用しているが、新システムへの移行ために7,8,9月の約3か月間の利用ができないことがわかっている。そのため、研究計画ではプログラム開発用のコンピュータの購入を計画していたが、研究計画をより円滑に進めるために当初より高性能のコンピュータの購入費用に利用する予定である。
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