研究実績の概要 |
最適な組合せ対象(離散構造)の存在性とその対象の分類は、組合せ論において基本的な問題であり、グラフ表現がその解決に強力な方法となる。初年度は、分割釣合い型トーナメントデザインの存在性についてグラフ表現により解決した。この成果を発展をさせて、一般化された釣合い型トーナメントデザインの分類を行うことを目的とする。 kn-集合V上の一般化された釣合い型トーナメントデザインGBTD(n,k)とは、BIBD(kn,k,k-1) のブロックを成分とし、条件1(V の各要素は各列の一つの成分に含まれる)と条件2(V の各要素は各行のk個以下の成分に含まれる)を満たすn行(kn-1)列の配列である。分割釣合い型トーナメントデザインの性質を調べるためのグラフ表現を一般化することにより、一般化された釣合い型トーナメントデザインGBTD(3,3)とGBTD(4,3)の同型判定を行い分類を行った。これは、GBTDについての初めての分類結果である。 位数29と31の自己同型を持つ位数60と64のアダマール行列の分類をそれぞれ行い、それぞれ同型を除いて266個と414個であることを示した。素数位数pの自己同型を持つ位数2p+2のアダマール行列から2-(2p+1,p,(p-1)/2)デザインが構成できる。また、このデザインは5つの性質を満たす4個の行列から構成できることが示されている。デザインをすべて列挙しそのグラフ表現により分類を行ったあと、アダマール行列についてそのグラフ表現により分類を行った。この結果をまとめて専門雑誌The Electronic Journal of Combinatoricsへ投稿し受理、出版された。
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