研究課題
本研究の目的は,音声・画像がある音声・画像の拡大縮小・平行移動の関係にあるかどうかを判定し,もし関係があるなら拡大率・平行移動量を求めることである.音声の場合は,ドップラー効果が拡大縮小の例である.画像の場合は,ズームとか対象までの距離が変わっている場合に相当する.特に,複数の元信号が混じり合った信号が2組あったときに,2組に共通に含まれる特定の元信号についての拡大率・平行移動量を推定することが,目標である.研究の 1 年目は,フーリエ・メリン変換を用いて,音声・画像の拡大縮小・平行移動の関係にあるかどうかの判定を行った.しかしながら,複数の基信号が混じり合った信号に対しては,フーリエ・メリン変換に基づく方法では処理が困難であった.研究の2年目である令和4年度は,音声信号に対する連続ウェーブレット変換の絶対値画像を使い元信号を対応づける試みを,応用数理学会年会で提案した.音声信号の拡大縮小は,絶対値画像では時間軸方向の拡大縮小とスケール方向の平行移動になることを利用した.最終年度である令和 5 年度は,音声信号の連続ウェーブレット変換に基づいたスパース表現を用いて特徴点を抽出し,それらを比較する方法により,2 音声の混合信号 2 組から,拡大率・平行移動量を推定できることを示し,14th International ISAAC Congress で発表した.一方で,分担研究者の萬代武史が中心となり,Parseval Frame に関する不等式についての研究を行い,Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics と Trends in Mathematicsに論文が掲載された.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics
巻: 40 ページ: 1329~1340
10.1007/s13160-023-00578-7
Analysis, Applications, and Computations, Birkhauser
巻: 1 ページ: 703~713
10.1007/978-3-031-36375-7_54