研究課題/領域番号 |
21K03354
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研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
土屋 拓也 八戸工業大学, 基礎教育研究センター, 准教授 (50632139)
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研究分担者 |
中村 誠 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (70312634)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 構造保存型数値計算 / Klein--Gordon方程式 / 完全流体 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、スカラー場の支配方程式であるKlein--Gordon方程式に対する高精度な数値計算手法の構築について行い、当該年度からはさらに完全流体に対してその高精度な数値計算結果を得るための計算手法について研究を行った。まずKlein--Gordon方程式に対しては、数値誤算の主要因となる2階微分項の離散化処理についてその原因と対処法について詳細に調べた。また、縮退する時空のように特異点を形成するために数値的に不安定性を生じやすい時空中における解の性質を調べた。 一方、完全流体についてはEinstein方程式とカップリングをさせながら重力崩壊の数値計算を行い、完全流体の支配方程式に対して数値安定性と計算精度を向上させる工夫を部分的に施した。 論文として、昨年度投稿中であった``Stable numerical simulation of Einstein equations in gravitational collapse space--time''、``Numerical simulations of semilinear Klein--Gordon equations in the de Sitter spacetime with structure preserving scheme''の受理と、``On the stability of covariant BSSN formulation''、``Numerical accuracy and stability of semilinear Klein--Gordon equation in de Sitter spacetime''の投稿と受理がされた。また、関連する成果として応用数理学会での発表をはじめ、12件の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、2年目までにスカラー場に対する非線形半群を用いた誤差解析を行うこと、完全流体に対する解析力学的な方程式の導出と数値計算を行うことを予定していた。現状ではスカラー場の非線形半群を用いた誤差解析、完全流体の解析力学的な方程式は共に未完成である。一方で、スカラー場に対する数値誤差の主要因の特定とその対処法が構築出来つつあることと、完全流体に対する高精度かつ安定な離散化方程式の構築が部分的に出来つつある現状を鑑みて、プロセスは予定通りではないものの、研究目的の達成度自体はほぼ予定通りとみなせると判断したためである。 加えて、研究計画では主に2年目と3年目に執筆予定であった論文について、初年度から投稿ができており研究業績の観点からは予定より早いペースで実績が積めているとも判断できる。 以上のことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Klein--Gordon方程式に対する数値安定性と数値計算の精度に関する調査を引き続き行い、論文を投稿していくことが最優先事項である。研究計画にあるスカラー場に対する非線形半群を用いた解析と完全流体に対する解析力学的なアプローチについても、引き続き調査を続行していく予定である。また、ここまでの成果についてその効果の検証のため、スカラー場の方程式であるKlein--Gordon方程式と完全流体に限らず、別の方程式系に対してもその成果を適用し、数値安定性と精度の研究をより精密に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、初年度のコロナの影響による残額があったこと、論文投稿の際に予算として予定していた投稿費用がかからない雑誌を投稿先として選んだこと、などを主な理由として予定していた費用がかからず次年度使用額が生じた。 次年度使用額を含め、今年度は研究計画で予定している学会などの旅費の使用に加え、最終年度のために論文投稿の本数を増やし、英文校正代やオープンアクセス費用を含め、掲載までの時間短縮と業績の周知のために費用を多く割くことでその価値を上げることを主支出先としたいと考えている。
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