研究課題/領域番号 |
21K03355
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
安田 和弘 法政大学, 理工学部, 准教授 (80509638)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マートン問題 / PIA / ファクターモデル / 最適消費・投資問題 / ベキ型効用 |
研究実績の概要 |
2022年度は,株価過程として外生的に株価に影響を与えるファクターを想定したファクターモデルを採用して研究を行った.このモデルはBlack-Scholesモデルと比べてより現実に近いモデルとなっている.また,ファクターモデルの情報の設定に対して,ファクターも観測可能とした完全情報の設定で研究を行った.これらの設定の下,本研究課題の主問題であるMerton問題に対するpolicy improvement algorithm(PIA)の提案をし,その収束に関する研究を行った.ここで,効用関数はベキ型効用関数で,ベキ指数が負の場合を扱った.このとき,提案したPIAはイテレーション回数に対して指数オーダーで収束することが理論的に示された.また今回の仮定の数理的特徴として,ファクターモデルにおいて,ドリフト係数に有界性を仮定しないで示すことができた部分もある点があげられる.これまでの研究では,確率微分方程式の係数に有界性を仮定することが多いが,本研究ではその仮定が一部除けたこととなる.そのため,ファクターモデルで最も重要な例である線形ガウス型モデルを含んだ形での結果となっている.モデルのドリフト係数に有界性を仮定せず,指数オーダーで収束することが示せたことは十分な結果と考えている.また,数値実験も行いかなり早い段階で真値に近づいていることも確認した.これらの結果を2022年9月に開催された日本応用数理学会年会および2022年12月に開催された2022年度確率論シンポジウムで発表した.また,この結果を論文にまとめ国際ジャーナルに投稿することもできた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書類に書いた2022年度の計画,ファクターモデル下でのMerton問題に対するPIAの提案およびその収束に関する結果を得るということを概ね遂行できたため.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はMerton問題関係に対して,PIAがどの程度の設定まで機能するのかを研究する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度になりコロナの影響も徐々に薄まってきているが,まだ海外での発表や研究打合せ等に行くまでではなかったため,そのために計上していた予算が余った形になっている.2023年度は,これまでコロナであまり出来ていなかった国際会議での研究成果の発表や海外の研究者との研究打合せをより積極的にすることで,国際的な活動をより活発に行う.
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