研究課題/領域番号 |
21K03368
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 健一 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40293120)
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研究分担者 |
矢崎 成俊 明治大学, 理工学部, 専任教授 (00323874)
中村 俊子 (荻原俊子) 城西大学, 理学部, 教授 (70316678)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メタ群集モデル / 競争系 / 進行波 / 比較定理 |
研究実績の概要 |
侵略的外来生物種の侵入・定着の防止,および,生物多様性の保全や生態系の保護への対策を探求するために,研究分担者および研究協力者と共に,数理解析と数値解析を相補的に用いて,生物群の局所的な集まりである局所群集の移動分散により生じる相互作用を記述するメタ群集モデルの解析を行った.具体的には,以下の結果を得た. (1)ニッチ(生態学的地位)の重なりが大きい2種類の生物種の競争を記述するロトカ・ヴォルテラ2種競争拡散系に現れる双安定型進行フロント波について考察し,既存の方法とは異なる変分的手法を用いて速度の評価を行った.さらにその結果を利用して,進行フロント波の速度の符号が決定できるようなパラメータの条件を既存の手法よりも平易に求められることを示した。 (2)対称型ロトカ・ヴォルテラ2種競争拡散系,すなわち,2生物種の移動能力(すなわち,拡散係数)のみが異なり競争力(すなわち,競争係数)および繁殖能力(すなわち,増殖率)が等しい場合,移動能力が高い方の種が競争に勝つことが数値的に予想されているが,厳密な証明は非常に限られたパラメータ範囲に対してしか成功していなかった.われわれは上記(1)で得られた進行フロント波の速度評価の結果を利用して,既存の結果の一部を含むより広いパラメータ範囲に対して予想が正しいことを厳密に証明することに成功した. (3)界面の長時間追跡に関連する数値的手法として,2種類の領域を隔てる界面が1次元グラフとして表される場合に,グラフに対する曲率流方程式を利用した新しい界面追跡法を提案し,既存の手法と比較してその評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
強競争条件下におけるロトカ・ヴォルテラ2種競争拡散系に現れる双安定進行フロント波について,既存の方法とは異なる新たな解析手法を用いて速度の符号を決定できるためのパラメータの条件を明らかにした.特に,2生物種の競争係数と増殖率が等しい対称型の非線形項を持つ場合に,進行フロント波の速度の符号が負になるための条件について,これまでに知られている結果を拡張する結果を得た.
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今後の研究の推進方策 |
昨今の社会情勢により,研究分担者との研究打ち合わせを対面で行うことが困難となっているので,オンラインでの打ち合わせを併用しつつ以下のように研究を推進する. (1)生物種が資源をめぐって競合関係にあるロトカ・ヴォルテラ型競争拡散系については, 研究代表者の中村と研究分担者の荻原が研究協力者と協力して,昨年度に得られた進行波の伝播速度に関する結果を格子状環境における離散モデルへ拡張し,速度のパラメータに関する依存性を精密に評価し,特に速度の符号を決定する. (2)メタ群集モデルに関する数値的な研究については,引き続き研究分担者の矢崎と協力し、界面を精度良く長時間追跡できるような数値スキームを開発し,その有効性を評価する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の流行継続のため,予定していた研究分担者との研究打ち合わせや国際研究集会参加等のための出張旅費が未消化となった.今後の状況にもよるが,昨年度までの研究進捗状況を鑑みて可能な限り速やかに研究打ち合わせを行い,研究を計画通り遂行する.
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