研究課題/領域番号 |
21K03371
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
山田 隆行 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (60510956)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高次元データ / 漸近分布 / 統計的仮説検定 / 統計的推論 |
研究実績の概要 |
まず高次元データの平均ベクトルの線形仮説についての検定問題の研究について報告する。次元数と標本サイズが共に大きくなる漸近枠組みにおいて平均のL2距離に基づく検定統計量の帰無分布の1次の漸近展開を母集団分布に正規分布を含むような一般化された確率分布を仮定した下で与え、その展開式を用いて検定規準の修正を行った。その結果を昨年度論文にまとめJournal of Statistical Planning and Inferenceに投稿しacceptされた。 つぎに正規母集団に対する高次元データの完全独立性の検定に対する研究について報告する。相関係数のL2距離に基づく検定統計量について、帰無仮説が真であ るという仮定の下で次元数と標本サイズが共に大きくなる漸近枠組みにおいて確率分布の漸近展開を1次の項まで導出し、その展開式を用いて検定規準の改良を 行った。この結果を論文にまとめCommunications in Statistics - Theory and Methods - に投稿し、acceptされた。また成果の一部について、9月に北海道大 学で行われた日本数学会2022年度秋季総合分科会にて``High-dimensional asymptotic expansion of the null distribution for testing complete independence of normal random variables''という題目で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次元データの平均の検定について帰無仮説の漸近展開とそれを用いた検定規準の修正を与えた結果を論文として公表できたため、その研究については順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
完全独立性の検定について検定規準の修正を提案したが、その研究の進展として相関構造のモデル選択問題がある。モデル選択をAICなどの情報量規準を用いて行うと、2のモデルの数乗ー1回基準量を計算しないといけず計算量が爆発的に大きくなる。このように全てのモデルの組み合わせについて規準量を計算する代わりの方法が高次元のモデル選択には必要となる。その手法についてBICの修正と、理論的には選択したモデルが真のモデルと一致する確率が1に収束するということの証明を今後研究していく。その際に今まで研究してきた漸近展開の研究成果などが活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦のため当初予定していた国際学会が延期になったり、またオンライン開催となったりしたために旅費に計上していた費用が大幅に余った。2023年度は海外渡航の規制も和らぐことが見込まれるので、積極的に参加することで繰り越している費用を消化していきたい。
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