研究課題/領域番号 |
21K03389
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
石坂 智 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 教授 (10443631)
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研究分担者 |
畠中 憲之 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 教授 (70363009)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 量子相関 / ホーキング輻射 / ウンルー効果 / タキオン |
研究実績の概要 |
(1) 実験的モデルの提案 (i)ホーキング輻射:ホーキング輻射は,事象の地平線で量子ゆらぎによって対生成された量子相関を持った放射現象であるため,量子相関と不確定性の限界を同時に探索でき,本研究課題の検証に適している.本年度は,ホーキング輻射の観測における課題の改善方法を検討した.これまで,4波混合パラメトリック増幅によるホーキング輻射の増幅であるため,ホーキング輻射とポンプの周波数が近く,これらの分離が困難なため,観測の障害となっていた.そこで,超伝導非対称非線形素子を導入し,周波数が離れた3波混合を用いた新たな擬似的ブラックホールを考案し,観測可能性を高めた. (ii)ウンルー効果:ホーキング輻射と双対なウンルー効果についても検討した.ウンルー効果は,静止している物体にとっての真空が,加速している物体には熱浴に見える効果であるので,基本原理探索におけるデコヒーレンスの効果を検討する際,有効である.今回,ホーキング輻射のシステムを拡張し,ウンルー効果の観測方法の提案を行った. (iii) タキオン: 本研究の過程で,ホーキング輻射と同じシステムで,タキオン場を再現できることがわかった.ホーキング輻射同様,タキオンも真空ゆらぎから対生成されるので,相対論的量子相関の研究への展開が可能であることがわかった. (2) 量子相関予想とalmost quantumnessとの関係: 量子相関予想では,その全ての量子性はalmost quantumnessという簡単なものであるのではないかとしていた.今回,この予想の正当性を検証し始めたが,その予備的結果は,「全てがalmost quantumnessにはない」という否定的なものであった.本来,量子相関予想 とlmost quantumnessとは関係がないものであるが興味深い.次年度に最終結果を出し論文にまとめる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今期になって,実験モデルにおいて3件も成果がでてきた.ホーキング輻射,ウンルー効果とタキオンに関するもので,どれも極めてインパクトが大きいと判断している. 量子相関予想の問題に関しては,今まで着目してこなかったalmost quantumnessとの関係性について調べ始めた.これに答えることが,「何故,量子相関予想は極めて簡単なのか?」という設問に対するヒントを与えてくれると考えている. 以上のことから,研究計画はやむを得ず1年延ばしたものの,概ね研究計画の通り進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
実験モデルについては,まだ論文になっていないものを論文にする.量子相関予想については,最終結果を出して論文にまとめる.研究計画が1年延びているので,論文の執筆に重点を置きたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表に係る費用に重点的に予算を使う計画だったが,成果が思ったように出ず予算執行が遅れ,研究計画を変えた.現在、新しい研究計画の下でスピードアップを図っている.成果は出つつある.
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