研究課題
銅酸化物高温超伝導体の基本模型である銅のd軌道と酸素のp軌道からなるd-p模型の超伝導相図を、電子相関効果を非摂動的に考慮できる動的平均場理論を用いて調べた。ベーテ・サルピータ方程式に基づいて超伝導感受率の解析的表式を導出し、厳密対角化法を用いて超伝導感受率を数値的に精度良く計算し、その発散により超伝導転移温度Tcを決定した。その結果、d軌道のオンサイトクーロン相互作用、d軌道とp軌道間の電荷移動エネルギー、ドーピングの関数として、スピン一重項のeven-frequency pairing、および、スピン三重項のodd-frequency pairingの詳細な超伝導相図を初めて得た。また、励起子相の基本模型である電子-正孔2バンド・ハバード模型に対して、同様の計算手法を用いて励起子感受率を精度良く計算し、その発散により励起子転移温度Tcを決定した。その結果、伝導電子-荷電子間クーロン相互作用、伝導バンド-荷電子バンド間のバンドの分裂の関数として、この模型の詳細な励起子相図を初めて得た。さらに、中性(ノンドープ)では約1.5eVのバンドギャップをもつ絶縁体であることが知られているDNAに対して、放射線照射により10塩基対あたりホールが10個および20個ドープされたpoly(CG)の安定構造、バンド分散、および、波動関数を、ノンドープpoly(CG)の電子状態の記述にも成功している第一原理計算(OpenMX)を用いて計算した。その結果、ノンドープのpoly(CG)では主にCytosineとGuanineが化学反応に寄与するのに対し、10ホールpoly(CG)では主に糖鎖とGuanineが化学反応に寄与する。また、20ホールpoly(CG)でも主に糖鎖とGuanineが化学反応寄与するが、Guanineが占める波動関数の割合は大幅に減少することが分かった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 5件)
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