研究課題/領域番号 |
21K03401
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸塚 圭介 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (80291079)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近藤格子模型 / SPT相 / 開放量子多体系 |
研究実績の概要 |
伝導電子系と格子上に並んだ局在スピン系が交換相互作用(近藤結合)によって結合する「近藤格子模型」は、長年にわたり重い電子系の物理を理解するためのミニマルモデルとして研究されてきた。しかし、局在スピン系自体に相互作用を入れて、近藤結合がない時でも局在スピン系が非自明な量子多体基底状態にあるようなケースを考えると、強相関量子開放系の問題としても捉えることができる。特に、局在スピン系が「対称性に護られたトポロジカル相(SPT相)」と呼ばれる物質状態にある場合は、注目する系(スピン系)が環境系としての伝導電子系と結合した時に、注目する系の非自明なトポロジカル状態がどのように環境の影響を受けるかを調べることになる。このような動機に立ち、一次元のスピン1のハイゼンベルク模型が伝導電子系と近藤結合した模型「スピン1近藤格子模型」の研究を行った。 この結果、近藤結合が大きい極限では、局在スピン間の相互作用が弱い場合には強磁性金属相が安定化されるが、局在スピン間の相互作用を強くしてゆくと、強磁性金属相が破壊され、絶縁体相に転移されることがわかった。また、近藤結合がゼロの時にはこの系はHaldane相と呼ばれるSPT相にあるが、そこに近藤結合を入れていった時にどのようにSPT相が影響を受けるかについても調べた。SPT相の指標となる「ストリング秩序変数」を密度行列くりこみ群法により数値的に調べた。その結果、このパラメータは有限の近藤結合の値までゼロにならず、SPT相の安定性を示唆する結果が得られた。これらの結果について、現在一篇の論文が出版予定、一篇が執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の蔓延による海外渡航の自粛のため、予定していた国外の研究者との共同研究が計画通りに進行しなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症も落ち着きをみせ、海外の研究者との交流も徐々に回復していきているので、令和4年度以降は、予定していた国際共同研究も行えるようになると考えられる。また、本課題とも関係して、現在フランスCNRSとの国際共同研究プロジェクトを申請中であり、これが採択されると活発な共同研究が推進できると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の蔓延のため、令和2年度終了の科研費が一年間延長となり、主な物品購入をそこから支出したこと、また、予定していた国際共同研究のための出張が全てキャンセルになり、旅費分の支出がなかったことによる。
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