| 研究課題/領域番号 |
21K03405
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| 研究機関 | 広島大学 |
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研究代表者 |
高根 美武 広島大学, 先進理工系科学研究科(先), 教授 (40254388)
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| 研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | チャーン絶縁体 / キタエフ鎖模型 |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題は2つの中心的主題から構成される．その一つは非エルミートなチャーン絶縁体におけるバルク境界対応である．空間的に均一な複素ポテンシャル（ゲイン/ロス型）を含む非エルミートなチャーン絶縁体の模型を導入し，修正周期境界条件を用いた独自の筋書きに基づいてバルク境界対応を議論した．昨年度，この系ではカイラル端状態の不安定化によるギャップレス相への相転移が生じることに気付いた．この現象は先行研究では見落とされている．この影響を取り込んでバルク境界対応を考え直し，その結果に基づいて開境界条件を課した系に対する相図を導いた．得られた相図は系のスペクトルと完全に整合し，先行研究の矛盾点を解決できることが分かった．この成果は一編の論文として出版した．
もう一つの中心的主題である，非エルミートなキタエフ鎖模型におけるバルク境界対応についても検討を開始した．従来のキタエフ鎖模型に3種の非エルミート性（空間的に均一な複素ポテンシャルと左右非対称な飛び移り，対生成・対消滅ポテンシャルの非対称性）を付け加えた模型を採用し，独自の筋書きに基づいてバルク境界対応を議論した．また，その結果に基づいて，開境界条件を課した系に対する相図を解析的に導いた．さらに非自明相で現れる境界ゼロモードに対する非エルミート性の影響を解析的に明らかにした．この成果に関しては，数値計算結果との整合性を確認してから，論文として出版する予定である．
また関連する研究として，階段端を持つ2次元2次トポロジカル絶縁体において，厳密なバルク境界対応が成り立つことを示した．この成果を一編の論文として出版した．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
非エルミートなチャーン絶縁体に関する主題をほぼ完全に遂行し，論文を出版した．非エルミートなキタエフ鎖模型に関する主題についても解決の目処が立ち，論文を執筆中である．当初予定していた2つの中心的主題について充分な成果が得られたので，当初の計画以上に進展していると判断する．
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| 今後の研究の推進方策 |
先ずは，非エルミートなキタエフ鎖模型に関する解析的な成果を数値計算によって検証し，論文として出版する．これが遂行できれば当初予定した研究計画は完了したことになるので，新しい主題について研究を進めたい．具体的には非エルミートなチャーン絶縁体に関する研究の発展版として，非エルミートなスピンホール絶縁体におけるバルク境界対応について議論する予定である．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍が継続しているため予定通り旅費を支出できず，若干の次年度使用額が生じた．これについては大学院生（研究協力者）用のパソコン取得費に充てる予定である．2022年度もオンライン開催の行事が多いため旅費の使用額は予定を下回ると推測される．一方，研究は予想以上に進展しているため，計算機関係の物品費と計算機補助等の謝金，英文添削費を増額する必要性が生じている．計上した旅費のうち予定通り支出できなかった分は，これらの用途に充当する予定である．
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