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2021 年度 実施状況報告書

流体・プラズマ中に現れる多層界面の非線形発展に関する数理的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K03408
研究機関大阪市立大学

研究代表者

松岡 千博  大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (10270266)

研究分担者 西原 功修  大阪大学, レーザー科学研究所, 名誉教授 (40107131)
平出 耕一  愛媛大学, 理学部, 研究員 (50181136)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード多層界面 / 非線形 / 渦層
研究実績の概要

この年度では、流体、プラズマ中に生じる密度成層を伴った多層界面(複数の界面が系内に存在)の非線形運動を、渦層モデル(Vortex Sheet Model, VSMと呼ばれる数理モデル)を用いて理論的、数値的に詳しく調べ、3流体2界面といった、界面-界面相互作用(複数界面の運動)の数理モデルの作成および、構成したモデル方程式の数値計算を行った。例として、多層界面におけるケルビンヘルムホルツ不安定性を理論的に調べた。その結果、ある初期値の下では、バリコースモードと呼ばれる、位相が反転した奇妙な形の界面形状が現れること、また、バリコースモードが出現すると、界面近傍に局所的に非常に大きな速度シアーが現れ、2つの界面間距離が最も小さくなるところで、ジェットのように流体が高速で噴き出すことが数値計算で観測された。また、単一界面に比べて多層界面はかなり大きな渦度を有していることも確認できた。この渦度の増大は特に、マルチモードと呼ばれる高次フーリエモードが初期値に入っているものにおいて顕著で、今後は、この渦度の増幅機構に関して詳しく調べていく予定である。上記の結果は流体力学の専門誌に掲載された。また、国際会議の招待講演(2件)でも成果を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究目標はおおむね達成できている。2021年度は査読付き学術論文の他、2件の国際会議(下記)で成果を発表することができた。どちらも招待講演である。また、本研究を発展させた研究として、大型科研費、学術変革領域(A)に分担者の一人として応募している。この研究は本研究同様、渦と磁場を中心としたテーマをもち、現在、ヒアリングの準備中である。

1. C. Matsuoka, Nonlinear interaction of two interfaces in the multi-component Richtmyer-Meshkov instability, 5th Asia Pacific Conference on Plasma Physics (AAPPS-DPP2021: e-conference) 26. September - 1. October, 2021 (Invited).

2. C. Matsuoka and K. Hiraide, Exact solutions in non-integrable systems, OCAMI Joint Usage/Research Helicity and space-time symmetry - a new perspective of classical and quantum systems Co-organized by NITEP: Nambu Yoichiro Institute of Theoretical and Experimental Physics, Osaka City University, 5 - 8. October, 2021 (Invited).

今後の研究の推進方策

現在は平面構造をもった2次元流体中における3層2界面の非線形相互作用を調べているが、今後は円筒型の多層界面の運動を解析する予定である。円筒型界面は本質的にマルチモードであり、非常に大きな渦度が界面上に誘起される可能性がある。現在、数値解析のための渦層モデルを構築済みで、2022年度からは、具体的にモデル方程式を解くためのの数値計算のためのスキーム開発を行い、さらに、得られた数値計算結果により、予測される渦度増幅が観測されるかどうか確かめたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19による緊急事態宣言の発令で参加を予定していた国際会議がすべて遠隔となり、海外旅費の使用額がゼロになり、さらに、国内の学会、研究集会もすべてオンラインとなり、国内旅費の使用額もゼロだったため、これらを物品等の購入に振り向ける必要が生じた。そのため、次年度使用額が発生した。次年度では旅費計上分を物品費等に変えて使用予定である。また、対面での研究集会も増えてきているので、可能なら現地参加し、旅費にも使用予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Motion of unstable two interfaces in a three-layer fluid with a non-zero uniform current2021

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Matsuoka
    • 雑誌名

      Fluid Dynamical Research

      巻: 53 ページ: 055502_1-26

    • DOI

      10.1088/1873-7005/ac2620

    • 査読あり
  • [学会発表] Henon写像に付随する非線形差分方程式の厳密解に対する急収束級数展開2022

    • 著者名/発表者名
      松岡千博、平出耕一
    • 学会等名
      2021年度冬の力学系研究集会
  • [学会発表] 非一様初期渦度をもった多層界面相互作用による非線形渦度増幅2022

    • 著者名/発表者名
      松岡千博、西原功修
    • 学会等名
      日本物理学会第77回年次大会
  • [学会発表] Nonlinear interaction between an interface and bulk point vortices in Rightmyer-Meshkov instability2021

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Matsuoka
    • 学会等名
      光・量子ビーム科学合同シンポジウム2021
  • [学会発表] Nonlinear interaction of two interfaces in the multi-component Richtmyer-Meshkov instability2021

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Matsuoka
    • 学会等名
      5th Asia Pacific Conference on Plasma Physics (AAPPS-DPP2021)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Exact solutions in non-integrable systems2021

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Matsuoka and Koichi Hiraide
    • 学会等名
      OCAMI Joint Usage/Research, Helicity and space-time symmetry ― a new perspective of classical and quantum systems
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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