研究課題/領域番号 |
21K03422
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
藪 博之 立命館大学, 理工学部, 教授 (60202371)
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研究分担者 |
宮川 貴彦 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (70439925)
仲野 英司 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (70582477)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 原子気体 / 双極子相互作用 / ボース・アインシュタイン凝縮 / フェルミ縮退 / 超固体 / 原子気体ポーラロン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、双極子ボース原子を含むボース・フェルミ(BF)混合気体において超固体相が現れる場合に理論的研究を行ない、超固体のダイナミックスが現れるかを明らかにし、実験結果を解明するとともに実験に対して新たな提言を行うことである。研究計画に即して今年度の研究実績について述べる: 1)双極子ボース原子を含むBF混合気体での超固体相のダイナミックス: 双極子ボース気体に対して、平均場近似であるs波相互作用と双極子相互作用、量子ゆらぎを局所密度近似で取り入れるLee-Huang-Yang項を取り入れた拡張Gross-Pitaevskii(GP)方程式の虚時間緩和法による計算法を確立し、数値計算を実行して超個体状態の計算を行った。 2)1)の研究の応用として、双極子フェルミ原子と非双極子フェルミ原子の混合気体系において、リング・ダイアグラム近似を用いて密度-密度相関関数を計算することにより集団モードを求める理論を定式化し、数値計算による解析を行った。この研究により双極子フェルミ原子と非双極子フェルミ原子の混合気体が双極子相互作用が大きい場合に系が不安定化することを明らかにし、その条件を明らかにした。研究結果は日本物理学会で発表した。 3) 超固体ボース・フェルミ混合気体におけるポーラロンの性質: 双極子ボース気体に拡張した双極子ポーラロンの計算を、Chevyの方法を用いて強相関の場合に拡張した理論を構築し、双極子ポーラロンの分析を行った。結果を研究論文としてまとめPhys. Review誌に発表した。また関係する研究結果の論文執筆、発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗状況は次のとおりである。 1)双極子ボース原子を含むBF混合気体での超固体相のダイナミックス: 研究実績において述べたように、双極子ボース原子における超個体相については計算が可能になっており、次の段階としてフェルミ粒子を導入してBF系の計算に進むことが必要となる。フェルミ粒子の部分に関しては双極子フェルミ原子と非双極子フェルミ原子の混合気体系の計算を行ったこと、コロナの影響から予定していた国際会議(LT29, International Conference on LOW TEMPERATURE PHYSICS)が2022年度に延期になったことによりそこでの発表が2022年度はできなかったことから、BF系の計算はやや遅れており、今年度に進めるべき課題である。 2)双極子フェルミ原子と非双極子フェルミ原子の混合気体系における密度-密度相関関数を用いた集団モードの研究は、ほぼ完了しており、学会による発表などの成果発表を行っている段階である。 3)超固体ボース・フェルミ混合気体におけるポーラロンの性質: 双極子ボース気体に拡張した双極子ポーラロンの計算に関しては、理論定式化および数値計算による解析は完了し、論文発表を行っている。この研究課題においても、フェルミ粒子の導入および数値計算の確立が次の段階となる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究の推進について述べる。 1)双極子ボース原子を含むボース・フェルミ混合気体での超固体相のダイナミックス: 前年度に確立した双極子ボース原子において超個体相を求める方法にフェルミ粒子をトーマス・フェルミ・フォン・ヴァイツゼッカーの方法を用いて導入し、BF混合系の理論定式化を行い、虚時間緩和法による数値計算によりフェルミ粒子を含む系での超固体状態基底状態を求め、相構造を明らかにする。結果を解析して超固体相のコヒーレンスについて明らかにする。 2)双極子フェルミ原子と非双極子フェルミ原子の混合気体系においては、国際会議(LT29, International Conference on LOW TEMPERATURE PHYSICS)における発表を予定している。また、混合気体型における集団運動モードと不安定性に関する必要な追加の計算および解析を行い、結果を研究論文として執筆し発表する予定である。 3)超固体ボース・フェルミ混合気体におけるポーラロンの性質:前年度に確立した双極子ポーラロンにフェルミ粒子を加える理論定式化を行い、数値計算を行って超固体状態にあるボース原子気体中のポーラロンのを求め、その性質を明らかにする研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加発表を予定していた国際会議(LT29, 29th International Conference on LOW TEMPERATURE PHYSICS, 札幌)が2022年度にコロナのため2022年度に延期となり、参加旅費を次年度に繰り越したこと、この延期と関係して関係する発表のための研究も2022年度に繰り越したためである。繰り越した金額は2022年度の予算と合わせて国際会議の旅費および研究費として用いる予定である。
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