水素を含む系を理論的に扱うのは意外に難しく、それは主に陽子の量子性に由来する。このため水素、水素化合物の物性予測では、量子性を調和近似の範囲に留めるか、または非調和性を含めた大規模解析を限られた構造に対して行うかのどちらかであった。本研究ではこの量子性を、非調和効果も含めて簡便に扱う手続きを提示している。水素化合物は、最近では高温超伝導体としての可能性から注目されている。また水素吸蔵合金は、燃料電池との関連から活発に調べられている。水、有機物など、水素を含む系は豊富で身近でもある。本研究成果は、これら多様な物質と関連するものであり、その適用範囲は広範囲に及ぶと期待できる。
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