研究実績の概要 |
今年度は非従来型超伝導体CeCoIn5のInサイトをNdで置換したNd置換系Ce1-xNdxCoIn5の単結晶試料育成、試料評価およびDC磁化測定を主に行った。単結晶試料はIn自己フラックス法により育成し、Nd置換濃度0,5,10,15,20,30%の6種類を作成した。試料の形状はいずれも板状で試料長はa軸方向が2mm程度、c軸方向が0.2mm程度で、質量は2~5mgで、かなり小さな単結晶試料であった。 試料評価は粉末X線回折、単結晶X線回折、電子線マイクロアナライザー(EPMA)の実験を行った。粉末X線回折の結果からは、いすれの試料もCeCoIn5と同じ正方晶HoCoGa5型の結晶構造であることが確認された。ただし試料にはInとCeIn3が不純物として含まれていることもわかった。しかし割合としてはかなり小さかったことから本研究には影響がないものと考えている。つぎにEPMAの画像から試料の表面は均一であることが確認された。またEPMAの定性分析からはCeとNdの合計を1としたとき、CoとInの割合が仕込み時のものより10%から20%程度少ない値が得られた。この結果については今後検討する予定である。 DC磁化測定は磁気特性測定計MPMS-7(米国カンタム・デザイン社製)を用いて行い、おおよその低温磁化の振る舞いを確認した。その結果、超伝導転移温度はNd濃度の増加とともに単調に減少し、磁化の大きさもNd濃度の大きさともに系統的に変化していることがわかった。これらの結果から、期待どおりのNd置換系の単結晶試料ができているものと判断した。
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