研究課題/領域番号 |
21K03451
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
平島 大 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20208820)
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研究分担者 |
鈴木 勝 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20196869)
谷口 淳子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (70377018)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超流動 / 準1次元系 / Hexatic相 / 固体相気体相相転移 |
研究実績の概要 |
細孔中の液体ヘリウムをシミュレートするための、ワームアルゴリズムを用いたモンテカルロ法のコードを開発している。コードの正当性をチェックするために、既存の結果と比較検討した。バルク系については、得られる物理量全てについて、既存の結果と誤差範囲内で一致する結果が得られているので、基本的には正しいコードが開発できていると考えている。ところが、そのコードを細孔系に適用すると、エネルギー、一体密度行列などは既存の結果と一致する結果が得られているが、肝心の超流動密度については、どの孔径に関しても、既存の結果と定性的には一致するが、定量的には若干小さい値が得られてしまう。 この不一致の原因を究明するためにさまざまなコードのチェックを行っているが、いまのところ、明確な原因は不明である。むしろモデルの設定に若干の違いがある可能性もある。まずは、既存の結果との不一致の原因を徹底的に調べ、不一致の原因を明らかにする必要がある。 実験的には、超流動応答の振動数依存性を明らかにするために、音叉型水晶振動子を用いて、既存の振動数よりも約1桁高い振動数で細孔中のヘリウムの超流動密度を計測する実験を開始し、超流動密度の立ち上がりを観測することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者は、2021年度より、思いがけず大学の入試実施責任者に任命され、1年のほとんどの期間を入試の準備、実施、大学の広報活動に費やさざるを得なかった。今年度も引き続き入試実施責任者の仕事が継続するので、昨年度に増して厳しい状況であるが、少しでも時間を見つけ研究計画の実施に充てる。
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今後の研究の推進方策 |
1.細孔内ヘリウム系に対するモンテカルロ法の計算コードの正当性を確かめ、大規模シミュレーションを実施する。本格的な大規模計算に移行する準備はすすんでいるので、まずは、既存の結果との小さな不一致の原因を明らかにすし、さらに大規模計算に移行する。 2.大規模計算については、典型的には数か月の間ジョブを走らせ続けることになるので、その間に、hexatic系あるいは固相気相相転移の研究の準備を始める。具体的には、自由エネルギー計算のコード開発および基底状態に対するモンテカルロ計算コードの改良を行う。 3.2023年度秋、冬学期の特別研究期間(research leave)を申請した。今年度も入試実施責任者として厳しい状況が続くが、来年度に向けてできる準備をする。 4.より高振動数での超流動密度の測定を行い、超流動密度(の温度変化)の測定振動数依存性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度予算は主として計算機環境の充実のために使用した。ごくわずか(\23,000)残金が生じたが、特に急を要する必要がなかったので、22年度予算に繰り越し、22年度の予定に沿って使用することにした。
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