研究課題/領域番号 |
21K03465
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤井 裕 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 准教授 (40334809)
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研究分担者 |
古谷 峻介 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 研究員 (90781998)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 電子スピン共鳴 / 一次元量子スピン系 / 異方的交換相互作用 / ミリ波 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、S=1/2一次元反強磁性体(量子スピン鎖)において、その量子臨界的振る舞いが現れる超低温域までの高周波電子スピン共鳴(ESR)測定から、鎖内および鎖間の異方的交換相互作用パラメータを評価することができるという新しい手法を提示することである。本研究では異方性主軸と外部磁場のなす角度を制御する必要があるので、小さな結晶で角度を精密に制御した高周波ESR測定を可能にすることを目指している。並行して、共鳴線のシフトや強度、線幅の温度変化について理論解析をすすめている。 当該年度は、分担者による理論研究においては、従来低磁場下で定式化された量子スピン鎖のESR理論―Oshikawa-Affleck理論―の強磁場への拡張を行い、異方的相互作用が共鳴周波数と線幅に及ぼす影響について一定の理論計算結果を得た。これをもとに、これまでに得られている実験データについて再検討を行い、異方的交換相互作用パラメータをある値に設定することで、実験データがうまく再現できることがわかった。 また、結晶試料をESR用共振器内で回転して磁場と結晶との角度を制御できる新たな共振器の製作に取りかかった。購入したピエゾアクチュエータを用いた共振周波数調整機構を有する新たな共振器のデザインを検討した。これまで利用してきた共振器内の電場・磁場偏光方向にあわせて細い金属配線を入れることが可能であることを確認し、温度安定性の向上の目処がついた。また、液体ヘリウム4温度での共振器試験やESR測定が可能な比較的広い試料空間を持つクライオスタットを整備した。また、候補物質を探索するために関連低次元物質の磁気共鳴測定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分担者による理論的研究により、これまでに得られている実験結果をうまく説明できる見込みが得られたことは順調な進捗である。 しかしながら、実験面で、超低温域で試料を角度回転させることの可能な共振器の製作と試験に遅れが出ている。共振器の製作にかなり精度が必要なためである。また、使用予定の希釈冷凍機にトラブルが発生し使用できない状況となっており、早急に修理が必要となっている。3Heガスを含むmixtureの一部が外部へ漏れてしまい補充が必要であるが、世界的なヘリウムガス逼迫状況のなかで大変憂慮している。
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今後の研究の推進方策 |
共振器デザインの課題に取り組み、超低温域での望みの磁場角度での測定に目処を付ける。もしくは角度回転はいったん離れて、精度良く角度を固定できる機構を検討し、試作する。いずれも液体ヘリウム4温度での測定が可能になったことを利用して、試験を行う。 あわせて希釈冷凍機の早期復旧を目指すが、外部との共同研究の可能性も検討する。 理論的研究においては、低温における強磁性量子スピン鎖への理論展開を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
共振器の製作について、次年度に試験を行うこととしたため繰越額が生じた。
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