研究課題/領域番号 |
21K03468
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 隆介 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60221751)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超伝導 / 渦糸 / パウリ常磁性 / FFLO / 超伝導揺らぎ |
研究実績の概要 |
本研究課題は、90年代に盛んに調べられた揺らぎの強い超伝導体が磁場下で示す真の超伝導相図(渦糸状態の相図)に関する研究成果を基礎に、パウリ常磁性が強い系での真の超伝導相図を明らかにしようという研究目的を持っているが、渦液体から渦固体に凍結する転移に伴う電気抵抗の消失を説明するという超伝導現象の中で最も基本的な現象の理論的解明が'90年代には手つかずのままであった。この問題には、ランダム系の統計力学と渦糸固体形成の傾向を含む形に改良された超伝導揺らぎの理論との両方を統一させた難解な理論の構築が必要であった。超伝導揺らぎの理論の改良には、パルケ近似というファインマンダイアグラムの系統的な部分和の方法を用いた。結果として、十分弱いランダムネスの系では渦固体形成の傾向による渦密度相関関数の特徴(いわゆるブラッグピークの成長)が3次元系ではある温度以下で突然渦グラス秩序化を誘発し、電気抵抗の不連続転移的な消失につながり、一方同様なメカニズムが2次元系での抵抗曲線には顕著に表れない、ということが分かった。3次元系での結果は '90 年代に盛んに報告された銅酸化物超伝導体 YBaCuO 系の良質なサンプルでの抵抗曲線をよく説明でき、2次元系での結果は同様なシャープな抵抗消失の挙動が超伝導薄膜の抵抗データに見られたことがないという実験事実とよく符合する。今回、これらの成果を挙げることができ、2024年4月に学術雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度に実行した研究は、比較的難解な問題であったため、本来の研究計画には含めていなかった。本来の研究計画は次年度に持ち越す形になったが、重要な研究成果を得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2成分ギンツブルクーランダウモデルで表現できるような、2バンド超伝導、p波超伝導 のモデルとなりうる系の渦固体相、ならびに FeSe で実現したと私たちが提案している第二ランダウ準位の渦固体相の電磁応答を包括的に調べ、通常の渦糸フローとは異なる応答になることを 2024 年5月現在で調べている。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張の予定を一件減らしたことで、次年度使用額が前年度よりは減ったものの、 まだ残っている。 R6年度は、国内出張2件、海外出張1件の旅費で十分残額が減ると予定している。
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