研究課題
本研究では、応募者らが独自に考案した濡れ性評価法である空気噴射液体排除法を応用し、液-気遷移によるバイオ界面分子の動特性評価を目的としている。生体高分子、ポリマーといったバイオ界面は、気中と液中で大きく濡れ性が変わることが多く、物性変化に起因して材料の機能性向上や劣化に直結するため、液-気遷移における物性評価は重要な課題である一方で、このような遷移を人為的に再現性よく引き起こすことが困難であった。独自手法の空気噴射液体排除法では気体噴射を精密に制御することにより、液-気遷移を精度良くマニピュレートできることから制御された実験を実現する上で意義深い。前年度の結果をふまえて、本年度は親水性の官能基と疎水性の官能基をそれぞれ側鎖にもつポリマー表面に対して、気体噴射液体排除法を適用すると共に、液中と気中それぞれの界面分子分光を実施した。界面分子分光法として、ヘテロダイン振動和周波発生分光法は、通常の和周波発生分光法の特徴である界面選択性に加えて、官能基の向きを決定することができる利点を有する。研究代表者の所属機関に設置されている装置を利用し、界面分子分光を実施した結果、気中で表出している疎水性官能基が液中ではみられなくなることを確認している。このことは気体噴射液体排除法において、液-気遷移によって表出する官能基を能動的にコントロールできることを示している。さらに、気体噴射液体排除法を行う際に動的に界面分子分光を実施するための実験装置構成について検討を行っている。
2: おおむね順調に進展している
仮説検証に必要な和周波発生分光法を実施し、良好な結果が得られているため。
実験データを説明しうる微視的な界面分子変化と巨視的な液体の濡れ挙動とを結びつけるモデルの構築を目指す。
一部の実験機材を調達することができず、次年度に調達することになったため。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Analytical Chemistry
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Sensors and Actuators B: Chemical
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https://researchmap.jp/nobuyuki.tanaka