研究課題
QUEST装置において入念な波動計測と共に高速電子の位相空間情報を高精度に得て,自発励起波動を含めた高速電子の位相空間ダイナミクスを実験的に調べることを目的とした.真空容器内の高磁場側,低磁場側に導入したRFコイルによりQUESTでの高周波波動の励起条件を調べた.励起される波動の周波数範囲は広く,プラズマ電流消滅時には強いトロイダル電場で強められた非等方性により,250MHzまでのホイッスラー波が生成される.また,高速電子の捕捉粒子が多い配位では,数MHz帯におけるチャープモードが準周期的に生成,消滅を繰り返し,また周波数ギャップも観測され,高速電子駆動のアルベン固有モードであることが示唆された.高速電子をピッチ角弁別して直接計測する挑戦的な高エネルギー粒子プローブ(EPP)の開発により,周辺部での高速電子のピッチ角分布が得られ,非誘導立上げにおける高速電子の非常に強い非対称性が実験的に評価され,電子サイクロトロン波による電流駆動の原理が実証された.EPPの超高速時間応答(2ns)により,MHz帯の自発励起波動と同じ周波数で高速電子束が振動していることが世界で初めて見いだされた.高エネルギー電子が発生させる硬X線を含めた振動であったことから,振動の空間領域やエネルギー,ピッチ角を弁別するためのEPPの最適化と視野を限定した高速硬X線計測器の開発を行った.EPPの揺動計測時には,参照信号を用いた硬X線寄与の除去ができない代わりに,実験条件次第では高速電子成分が十分に高い状況のもとで揺動計測が可能なことが分かった.従って,エネルギーのみでなくピッチ角を弁別した高速電子の高周波揺らぎの計測が実現できることが示され,トーラスプラズマにおける電子系での波動粒子相互作用の研究を高精度に実施できる体制を構築することに成功した.
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29th IAEA FEC proceedings
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