研究課題/領域番号 |
21K03521
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松田 晃孝 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (10413999)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | レーザーフィラメント / 強レーザー場 / 反応制御 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
機械学習によるフェムト秒レーザー誘起気相プラズマ反応の最適制御を目指し,(1)大規模データセット取得に向けた質量分析法の検討,(2)メタン/酸素混合系の反応制御性に関する予備的実験を行うとともに,(3)昨年度から開発を進めているレーザープラズマ反応最適制御システムの構築およびメタン/酸素混合系への適用を進めた。 (1)質量分析法の検討:機械学習に不可欠である大規模データセットの効率的な取得を実現するために,フェムト秒レーザーイオン化を用いた飛行時間質量分析および電子衝突イオン化を用いた四重極質量分析を対象に実験的検証を進め,高分解能の質量スペクトルを短時間でより多く計測できる手法の選定および条件探索を行った。 (2)反応制御性に関する予備的実験:昨年度行った予備的実験において有用な候補として選定されたメタン/酸素混合系に関して,レーザープラズマ反応によって得られる化合物の反応制御性についての予備的実験を行った。オゾナイザーを用いて酸素ガスの一部をより酸化力の強いオゾンとして導入した場合,一部のピークに関して生成比率が変化することが確認された。 (3)レーザープラズマ反応最適制御システムの構築:昨年度開発を行った機械学習ソフトウェアにフェムト秒レーザーパルス波形整形装置および(1)で選定した質量分析計を連動させる機能を組み込み,レーザーパルス波形を変化させたときの質量スペクトルを自動で取得し,遺伝的アルゴリズムを用いて特定の生成物の収量が最大化されるレーザー波形を自動的に探索するシステムを構築した。開発した装置をメタン/酸素系に適用し,レーザー波形最適制御の予備的な実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェムト秒レーザーパルス波形整形装置と質量分析計を組み合わせ,遺伝的アルゴリズムに基づく機械学習によりフェムト秒レーザー誘起気相プラズマ反応において特定の分子の生成量が最大となるようにレーザーパルス波形を最適化するシステムの開発を行った。
反応制御性の調査を目的としたメタン/酸素混合系を対象とした予備的実験において,酸素に加えオゾンを導入した場合において,一部の生成物において反応が選択的に変化することを見出した。
同反応系を対象として新たに開発した装置による実験を進め,遺伝的アルゴリズムによる世代交代が進むにつれて着目した分子の生成量が僅かに増加する傾向が観測された。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,メタン/酸素混合系を対象とした研究を進め,レーザープラズマ反応の最適制御を目指すとともに,最適化されたレーザー波形において着目した分子の生成が極大となる反応機構の検討を行う。また,フィードバック機構におけるデータセット評価方法の再検討を行い,最適レーザーパルス探索の効率化を進める。さらに,レーザーパルス波形以外のパラメータに関してもフィードバック制御の対象としての検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
フェムト秒レーザー誘起気相プラズマ反応の最適制御において,レーザーパルス波形以外の制御変数を含めた広範囲でのパラメータ探索を可能にするシステムの開発を予定していたが,開発した装置の検証に必要なデータ収集を優先する方が効率的であると判断し,レーザーパルス波形のみに限定したシステムを早い段階で完成させて実験を開始した。このことにより,パラメータ空間拡張のために購入を予定していた物品の購入を延期したため,次年度使用額が生じた。今後,パラメータ空間の拡張を含めた装置の改良に使用し,本研究課題を迅速に遂行する。
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