研究課題
① プラズマ装置の開発:細胞照射用トーチ型プラズマ発生装置の開発を九州大学大学院総合理工学研究院エネルギー科学部門と共同で行った。プラズマ生成に際しては高い熱産生があるため、照射される細胞に熱の影響が大きく生じることが予想されたため、冷却装置を付与することで、熱影響を排除した。また放電電極を誘導体でコーティングすることにより、発生する電子のエネルギーを低下させ有害な窒素酸化物の発生を抑制し、活性酸素のみを効率的に生成した。さらに特徴としては、細胞へプラズマを直接照射する際の乾燥を防止するために、照射中にも一定の水蒸気を同時に送り出し加湿を可能としている。② 口腔癌細胞株に対する大気圧プラズマの影響:プラズマ照射24時間後では、口腔癌細胞の細胞数が未照射のものと比較して低かった。またプラズマの照射時間に比例して細胞数が減少していた。③ 正常細胞への影響:正常細胞として正常皮膚ケラチノサイトHaCaT細胞を用いて、同様の実験を施行したところ、未照射のものと細胞数に大きな差はなく、抵抗性を示すことが判明した。しかしさらに照射時間を延長すると、口腔癌細胞同様に細胞数の著しい減少が確認された。④ 間歇的複数回照射による抗腫瘍効果:プラズマに感受性の低いHSC3細胞に対して、抗腫瘍効果を上げるため間歇的に複数回数のプラズマ照射を行い同様の実験を行った。照射回数に依存的に抗腫瘍効果が認められた。一方、正常細胞においては低下率が低く、細胞へのダメージが少ないことが確認された。⑤ 抗癌剤との併用作用:プラズマ照射後にシスプラチンの添加を行い抗腫瘍効果を検討した。CDDP感受性によってやや反応が異なるものの、相加的な抗腫瘍効果が確認できた。⑥ 免疫系細胞への影響:T・B・NK細胞由来の細胞株への大気圧プラズマ照射においては、一定の条件下において、これら細胞の賦活化を誘導することが確認された。
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