研究課題/領域番号 |
21K03571
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
柿崎 充 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (90612622)
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研究分担者 |
朴 銀鏡 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 講師 (20595897)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 素粒子論 / 宇宙論 / ヒッグス粒子 / 暗黒物質 / 余剰次元 / インフレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒッグスセクターの物理と暗黒物質の物理を融合することで素粒子物理学の標準理論を超えた新しい物理理論に迫ることを目指し、様々な素粒子モデルの現象論的解析、及び新しい素粒子モデルの提案を行っている。 今年度はゲージ・ヒッグスモデルと呼ばれる余剰次元モデルの一つの類型を取り上げ、予言されるヒッグスポテンシャルの形、及びヒッグス粒子の自己3点結合の値を計算した。特に、平坦な時空で5次元ローレンツ対称性が緩和された現実的なゲージ・ヒッグスモデルにおいてはヒッグス自己3点結合の標準理論予言値からのずれは非常に小さくなることを示した。将来の加速器実験でこのずれが検出された場合は、このモデルの大幅な拡張が必要となる。また、このヒッグス自己3点結合のずれが非常に小さくなるという性質は平坦な時空を持つゲージ・ヒッグスモデルに一般的に当てはまるものであることも示した。 また、アクシオンゲージ場モデルと呼ばれる、インフレーション機構にCP奇スカラー場(アクシオン)と付加的なゲージ場が導入された模型の現象論的制限を調べた。特に、ゲージ場起源のテンソル揺らぎが大きくなり、将来の宇宙マイクロ波背景放射実験でテンソル揺らぎが観測されてもインフレーションスケールが決まらない場合に着目した解析を行った。先行研究で考慮されていなかったアクシオンの崩壊によって生じる暗黒輻射の制限が厳しいことを初めて指摘し、この制限とも無矛盾なパラメータ領域があることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平坦な時空上で5次元ローレンツ対称性が緩和された現実的なゲージ・ヒッグスモデルにおけるヒッグス自己3点結合に関する論文をまとめ、査読付き雑誌にて発表をすることができた。また、当初予定していなかったアクシオンゲージ場モデルの現象論的解析についても論文をまとめ、査読付き雑誌にて発表をすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
他のヒッグスセクターが拡張されたモデルにおいてもヒッグスポテンシャル及びヒッグス自己3点結合に関する研究を行っていく。また、同時に暗黒物質残存量を説明する可能性についても探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、海外で開催される国際会議への参加を予定していたが、新型コロナウイルスの影響により、国外出張できなかったため、海外渡航に必要な金額を繰越して来年度の国外旅費に当てたい。
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