研究課題/領域番号 |
21K03579
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
浅野 雅子 成蹊大学, 理工学部, 教授 (90378539)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 弦理論 / 重力理論 / ゲージ対称性 |
研究実績の概要 |
拡張された超弦理論(超弦の場の理論)を用いて、零質量のテンソル場の2次のゲージ不変作用のさまざまな表現についての考察を行い、特に、重力場と同様に、対称性の足が2列のヤング図で表されるテンソル場の2次のゲージ不変作用を適切な補助場を用いて構成するための準備的解析を行なった。合わせて、一般のテンソル場についての解析を行い、補助場を形式的に積分して分離した形での作用が求められるなど一定の成果が得られた。さらに、テンソル場の対称性が複雑な場合の補助場の自由度の分離について、また、共変性を破らない範囲で一般的にどこまで自由度が分離できるかについての補足的解析を行なった後に成果発表予定である。 また、本研究課題の基礎づけと位置付けられる拡張された超弦理論の相互作用の研究についても多方向から検討と解析を続けた。いくつかの試みのうちの一つとして、複数の開いた弦を用意してそれらを一端で固定したような弦ジャンクションの一種についての解析を進め、一定の成果を得ることができ、口頭発表を行い、かつ、現在論文発表準備中である。具体的には、この弦ジャンクションの世界面上の作用を構成し、境界条件や対称性を考慮した上で、弦理論の第一量子化と同様の手法で量子化を試み、物理的状態の性質を得ることができた。同時に、弦理論との関係や対称性、量子化の手法の妥当性など、今後検討すべき課題の整理についても行った。この結果は、弦理論の双対性やDブレインを含む弦ジャンクションの量子論的性質につながるはずであり、さらに解析を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画で予定していた解析の進捗が遅れていること、逆に計画にはなかったが課題遂行に密接に関係する研究に進展が得られたこと、そして、コロナ禍の影響で出張や議論の予定が変更になったこと、が挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、当初の研究計画にしたがって研究を進める。解析中の零質量場の一般的なゲージ不変作用とその性質の研究をまとめ、結果を重力場の双対場に応用し、研究を次の段階に進めることを目標とする。 また、新たに進展のあった弦ジャンクションの量子化についての結果をさらに考察し、課題に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため予定していた研究発表及び研究打ち合わせ出張を見合わせたことが大きな理由である。また、研究の遂行状況から、当初の支出予定を変更または次年度以降に回した内容もある。 次年度については、状況を見ながら、今年度行えなかった研究発表及び研究打ち合わせ出張を行う予定である。その他、研究遂行のために効果的に使用する予定である。
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