現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
地上重力波望遠鏡(aLIGO, advVirgo)の第3次観測(O3)が終了してから2年が過ぎた。この間、これまでに得られた観測データを用いた、物理学的・天文学的な観点からの様々な解析が進んでいる。その中で、一般相対性理論の検証に直結するリングダウン重力波からブラックホール準固有振動の基音・複数の倍音をより良く抽出できると期待される方法を(Norichika Sago, Soichiro Isoyama, Hiroyuki Nakano, Universe, 7, 357 (2021))において提案することができた。この方法は、現在の観測精度に対しては過剰性能であると考えられるが、今後の第4次観測(O4)やさらに将来の観測で威力を発揮すると考えている。一方で、本研究の共同研究者とは独立な研究者たちが、当該分野の研究に参入する状況が生じており、リングダウン重力波の分野の活性化を期待することができる。 また、基礎的な研究ではあるが、連星ブラックホールの数値相対論シミュレーションにおける重力波波形の抽出に関して(Nicole Rosato, Hiroyuki Nakano, Carlos O. Lousto, Phys. Rev. D 104, 044047 (2021))において議論した。重力波が観測されてから、理論重力波波形としての数値相対論波形の需要は、ますます高まっている。高次元パラメータ領域(ブラックホールの質量、スピン)での大量の波形生成が求められることから、効率の良さという観点が重要になっており、精度向上もまた必要である。今後、本研究が活用されることになる。こちらもまた、重力波の将来観測を見据えた研究である。
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