研究課題/領域番号 |
21K03585
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
茅根 裕司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (90649675)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 背景放射 / 宇宙論 / 重力波 / インフレーション / マイクロ波観測 / 時間軸天文学 / データ解析 / アクシオン |
研究実績の概要 |
本研究では最新の宇宙マイクロ波観測実験Simons Array (SA)による原始重力波起源Bモードの観測と、マイクロ波観測での時間軸天文学の開拓を進めている。 本研究では原始重力波起源Bモードの検出を目指した観測、データ解析パイプラインの開発、実際のデータ解析を進める予定である。 また時間軸天文学の開拓に関しては、宇宙マイクロ波背景放射観測の高頻度性に着目した、突発天体検出や時間変化する測定対象を使った新たな応用を模索している。 SAは依然として続いているコロナ禍の影響により、十分な観測が出来ないでいるため、データ解析パイプラインの開発は進められているが、SAの観測による原始重力波起源Bモードの検出は実現できていない。 一方で、既に観測を終えているSAの前の実験であるPOLARBEAR (PB)実験の豊富なデータを使った再解析、時間軸への応用を進めており、一定の成果を達成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響によりSAの観測は遅延している一方で、PBの観測データを使った時間軸天文学の開拓を進めている。一般的には定常的だと考えられている宇宙マイクロ波背景放射の直線偏光のAC oscillationを観測することで、ダークマターの候補の一つではないかと最近注目を浴びているAxion-like particle (ALP)への制限を与えることが可能である。現在は既に取得されているPBのデータを使ったデータ解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
依然コロナ禍ではあるが、日米欧の研究グループ、そしてチリの現地スタッフと一丸となって早期の本観測開始を目指す。 並行して既に進めているPBのデータを使ったALPへの制限を完了させ、論文化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、主に国内・海外渡航旅費が余ったため。
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