研究課題/領域番号 |
21K03593
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
伊藤 領介 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (90193531)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新物理探索 / 統合解析 / ディープニューラルネットワーク / 高次トリガー |
研究実績の概要 |
本研究はディープニューラルネットに、新物理に感度の高いB中間子のK*l+l-崩壊等の終状態の粒子レベルでのすべての情報を入力として用い、新物理定数であるWilson Coefficient C7,C9,C10を高精度で決定することにより、新物理の探索を行うことが目的である。ディープニューラルネットに必要な大量の計算資源を得るために、高エネルギー実験に使用される高次トリガー(HLT)の余剰な計算能力を動的に確保して使用する機構の開発も行う。3年間の研究の予定であり、初年度はディープニューラルネットの解析フレームワークへの実装とテスト、次年度はHLTに用いるための並列化と計算資源の動的管理の実装を行う。最終年度はディープニューラルネットの学習の後、実験データを入力してWilson Coefficientを決定し、新物理モデルの同定を行う。 本年度はディープニューラルネットのフレームワークの選定をおこない、GoogleのTensorFlowを使用することに決定した。TensorFlowをHLTのテストシステムに組み込み、その基本的動作をexample dataを用いて確認し、使用法を学んだ。次に従来使用してきた新物理モデルを簡単化したToy Monte Carloを用いて疑似イベントを発生しTensor Flowに学習させ、Wilson Coefficientの決定を試し、動作を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Toy Monte Carloを用いてのWilson Coefficientの決定は動作を確認できたが、より実際に近いモデルを使用すると決定された係数にバイアスが観察された。実際に使用するMonte Carlo Event GeneratorであるEvtGenへの新物理モデルの組み込みを終え、それを用いたテストも開始したが、係数がうまく決定できないことがわかった。現在これらの原因を追求している。
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今後の研究の推進方策 |
現在の新物理係数がうまく決定できない問題の解決にまず注力する。解決後にTensorFlowのBelle II高次トリガーシステムへの実際のimplementationを行う。Belle II実験がちょうどbeam停止期間に入っているため、システムを専有しての作業が可能である。同時にそのTensorFlowの学習の並列化を研究し構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ状況下により高次トリガーに接続するネットワークスイッチの購入が遅れた。またドイツの協力研究機関を訪問して研究の進行について議論することができなかった。
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