本研究の目的は、薄膜とマイクロチャンネルプレートを用いて、低エネルギーな軽粒子に対しても高時間分解能、高検出効率が得られる準非破壊型飛行時間検出器を開発し、超重元素探索実験の高効率化を目指すものである。 準非破壊型飛行時間検出器では、ビームが薄膜へ入射する際に、薄膜より放出される二次電子を利用する。放出された二次電子を電場にて加速後、別途印加した電場によって電子を検出する装置マイクロチャンネルプレートへ輸送し、信号を得る。 一昨年行った九州大学タンデム加速器施設での性能評価試験では、得られた時間分解能、検出効率は、薄膜中心付近でそれぞれ250ピコ秒、97%であり、これらの値にはビームの入射位置による依存性が観測され、薄膜周辺では性能が低下することが分かった。 一昨年の性能評価試験にて、得られた時間分解能が目標値に届いていないこと、時間分解能・検出効率にビームの入射位置による依存性が観測されたことから、昨年度は、時間分解能の向上ならびに各位置依存性を改善するためにシミュレーションを進めた。 今年度はシミュレーションの結果をもとに、新たな検出器の設計製作を進め、検出器を完成させた。今後、性能評価を行い、実用化を目指した開発を行う。
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