研究課題/領域番号 |
21K03606
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
大前 宣昭 福岡大学, 理学部, 准教授 (60615160)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | レーザー干渉計 / 光共振器 / 光ショット雑音 |
研究実績の概要 |
レーザー干渉計型重力波望遠鏡では、感度を向上させるために高出力なレーザーを使用する。しかし、レーザーの高出力化に伴い、光検出器での受光パワーが限界に達しつつある。そこで、レーザー干渉計の光干渉信号を電気信号に変換する光検出器において、従来の光の直流検出+電気的なAC結合ではなく、光共振器の反射光のフィルタ効果を利用した「光AC結合」による干渉計の信号検出方法を提案し、少ない受光量で高感度な低ショット雑音のレーザー干渉計を実験的に実証する。本研究では実験室で1m程度の大きさのマイケルソン干渉計を構築することで、超高周波重力波をターゲットとする。本研究にて、レーザー干渉計における光AC結合による低ショット雑音の信号取得の手法を確立し、大型重力波望遠鏡への応用可能性を見出す。 本研究では、マイケルソン干渉計で光AC結合での干渉信号取得を実験的に実証する。従来の直流(DC)受光と同じ受光量でショット雑音レベルが改善することを実験的に実証することを試みる。実際の実験では、非常に微小な信号計測になるため光AC結合以外にも、レーザーのもつ強度雑音や位相雑音の除去、干渉信号の信号対雑音比を低下させるレーザー光の高次空間モードの除去用の光共振器が必要になることが検討段階から予想できている。 今年度は、マイケルソン干渉計に入射するレーザー光の雑音除去、光AC結合信号検出、そして干渉信号に混入する不要な高次の空間モード除去用の3種類の光共振器をそれぞれ製作し、性能評価を行い、どの光共振器も安定した長時間のロック動作を確認した。研究構想どおりの光共振器を実現できたので、次年度計画のマイケルソン干渉計の動作試験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイケルソン干渉計に入射するレーザー光の雑音除去、光AC結合信号検出、そして干渉信号に混入する不要な高次の空間モード除去用の3種類の光共振器をそれぞれ製作し、性能評価を行った。マイケルソン干渉計に入射するレーザー光の雑音除去用の光共振器では、共振器長0.8m、フィネス500の光共振器を実現し、1 MHz以上の周波数のレーザー雑音が低減できていることを確認した。また、光共振器のエンドミラーに接着したピエゾ素子のフィードバック制御によって、長時間のロックを実現した。光AC結合信号検出用の光共振器は、光共振器に使用する鏡の損失の大きさを実際に評価することによって、共振器長を適切に設計する必要があった。光共振器のフィネス100程度であれば、ほぼ損失なく動作することを評価できたため、最適な共振器長の光共振器を製作し、長時間のロックを実現した。干渉信号の信号対雑音比を低下させるレーザー光の高次空間モードの除去用の光共振器については、10~100 MHzの信号を透過させるために、フリースペクトラルレンジ10 GHz、フィネス30程度の光共振器を製作し、光損失が十分小さいことを確認し、長時間のロックを実現した。以上、研究構想どおりの3種類の光共振器を実現したため、次年度計画のマイケルソン干渉計の動作試験を開始している。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに必要な光共振器の製作が完了したため、1m程度の大きさのマイケルソン干渉計の構築し、光共振器の導入を進める。そして、干渉信号を光AC結合で取得し、100 MHz付近の信号が実際に取得できることを実証する。その後、干渉計の雑音評価を行い、光AC結合動作の有用性を検証し、低ショット雑音動作を確認する。
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