研究課題/領域番号 |
21K03618
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中西 裕之 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (90419846)
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研究分担者 |
小林 秀行 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 特任教授 (20211906)
藤澤 健太 山口大学, 時間学研究所, 教授 (70311181)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 銀河 / 電波 / FPGA / デジタル / 干渉計 / 磁場 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、銀河の大局的磁場構造を探るため、単一鏡偏波観測のためのデジタルバックエンド開発を進めている。 申請書では、1年目にFPGA (Field Programmable Gate Array)ボードを用いたデジタルバックエンド開発を完成し、実験室内での動作試験を行い、2年目に山口大学および国立天文台の運用するKDDI山口衛星通信センター内の電波望遠鏡へ搬入し、試験観測を実施することとしている。 令和4年度は、まず8月上旬にKDDI山口衛星通信センターを訪れ、開発したデジタルバックエンドを搬入し、試験観測を行った。その際、2偏波のうち片偏波しか使えない状況であったため、2偏波の相互相関ではなく、2台のアンテナの相互相関を取る実験に切り替えることとした。その結果、2アンテナの相互相関スペクトルを得ることができ、リアルタイムの干渉計としての観測ができることを示すことができた。 さらに、観測中にリアルタイムでデータの時系列変化を示すプロットができるような観測支援ソフトウェアを開発し、1月上旬に再度KDDI山口衛星通信センターを訪問した。口径32m、34mのアンテナ2台を用いた2素子干渉計でラスタースキャン観測を行った。データ較正用の天体3C380を長時間にわたってトラッキング観測し、相互相関スペクトルを取得することに成功した。古典的な電波干渉計では、uv平面上で一本の曲線に沿った点でしかビジビリティデータが取得できないが、ラスタースキャンによってuv平面上で広い範囲のビジビリティデータを取得できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書では2年目の目標として、「FPGAバックエンドを山口電波望遠鏡へ搬入し試験観測を実施すること」と「試験観測データを用いて、干渉計データの欠損した uv 成分を補完すること」と記載した。研究実績の概要に記した通り、FPGAバックエンドを山口電波望遠鏡へ搬入して試験観測を実施しており、一つ目の目標は達成された。2つ目の目標については、少しアプローチは異なるものの、2アンテナを用いた干渉計でラスタースキャン観測の実験を行い、古典的な電波干渉計では取得できないuv成分を得られることを示した。このことから2つ目の目標も達成できたと言える。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、令和4年度も、共同研究者に加えて、大学院生等を含む11名を迎え、定期的に研究打ち合わせを行ってきた。令和3年度は7回、令和4年度は5回の打ち合わせを行っており、来年度も同様の打ち合わせを行いながら、研究チームでの情報共有を図りたい。 令和5年度も引き続きKDDI山口衛星通信センターに装置を持ち込んで試験観測を行い、銀河の大局的磁場構造を探りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
1000円未満の少額の残額であったため、翌年度分と合わせて執行することとした。今年度と同様に、主に実験に必要な物品および実験および成果報告のための旅費として使用する。
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