研究実績の概要 |
太陽物理学上の残された謎の一つであるプラージュ域での彩層加熱機構を観測的に解明することを目指すことを目的とした研究である。本研究の推進のため、(1)補償光学装置および高分解分光装置を備えた京都大学理学研究科飛騨天文台ドームレス太陽望遠鏡を用いて高空間・高時間分解能で可視域多波長分光観測を実施し、さらに(2)高速撮像装置を新規に導入しスペックルマスキング法を用いて光球及び彩層の空間的微細構造の時間変化を行った。(3)同時にIRIS衛星による極端紫外線多波長分光観測データを取得した。この観測研究は2021年7月および8月にそれぞれ1週間の期間で、国際共同観測という形で実施した。8月26日、27日、28日の3日間に、(2)の良質なデータを取得した。現在その解析を実施中である。 この研究では、高速撮像装置の開発のためのC-MOSカメラの新規購入を行った。半導体不足の為その納品が10月となり今年度の観測には使用できなかったものの次年度以降の観測で活用する予定である。 この研究の一環として、ドイツのGregor望遠鏡で2018年に行われたプラージュ域での多波長偏光分光観測データを解析した。その結果を、Measurements of Photospheric and Chromospheric Magnetic Field Structures Associated with Chromospheric Heating over a Solar Plage Region: Tetsu Anan, Thomas A. Schad, Reizaburo Kitai et al.,The Astrophysical Journal, Volume 921, Number 1, (2021)として公刊した。
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