DESI-HRMS (MeOH溶媒)を用いた分析で,始原的隕石からMgを含む有機金属化合物 (Mg-MOC)を多数検出した。空間分布やイオン強度から,Mg-MOC系列の大部分は水質変質で形成したが,その後の水や熱の作用で分解もしくは有機物の高分子化などその他の反応で消費されたことが示唆された。また, 隕石IOMの存在量との相関はMg-MOC系列によって異なり,水質変質時の隕石有機物の化学進化におけるMg-MOCの作用は多様であることが示された。熱変成を受けた始原的隕石に多く見られたMg-MOC系列は,熱的に安定で,これらの形成により隕石有機物が揮発・分解しにくく安定に保存されたと推察される。
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