研究課題/領域番号 |
21K03650
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
長澤 真樹子 久留米大学, 医学部, 教授 (00419847)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 惑星形成・進化 |
研究実績の概要 |
複数の原始惑星が存在し,順番に木星へと成長する場合に,近接する木星型惑星の系が作れるかの計算を続けている.昨年度までの研究では,1つ目の木星が成長する段階で,原始惑星の軌道間隔が10ヒルでは系全体が不安定になり,軌道間隔が20ヒルの場合は系は惑星同士が離れた安定なままで,複数の木星型惑星が近接して形成されるような条件は見つけられていなかった. 今年度は,原始惑星の間隔をパラメータとして10ヒルから20ヒルの間隔の間で変更する計算を実施した.その結果,15ヒル間隔付近で,目指す複数の惑星が近接して成長できそうな領域の存在を見出した.14ヒル間隔以下では,軌道不安定が起きてしまう.ヒル間隔が大きくなると3惑星が残るケースも見られるようになるが,14ヒルの場合でも確率は30%以下であり,惑星同士の平均の軌道間隔も20ヒル間隔を超えてしまう.これが,初めの原始惑星間隔が15ヒル間隔の場合,4つ以上の原始惑星が10ヒル程度で残るケースが50%程度見られるようになる.この状況であれば,原始惑星が続けて木星が成長して近接した木星型惑星の系を作れる可能性がある.初期の原始惑星間隔が16ヒルをこえると,微妙な軌道の調整で微惑星同士の距離が離れて,5つの原始惑星が15ヒル間隔程度で安定化するケースが大半となる.なお,初めから木星サイズの惑星が存在する場合,20ヒル間隔であっても原始惑星系は不安定になってしまい,時間幅のある木星の成長が軌道の調整による安定化の鍵になっていることもわかった.15ヒル間隔以上で計算を始めた場合も,木星の成長による調整で,残った原始惑星の平均の軌道間隔は15ヒル間隔以下となっている. 今年度の研究からは,初期の原始惑星の間隔が15ヒル程度というごく狭いパラメーター領域で,複数の木星型惑星が並んで存在する初期条件を作れる可能性があることが判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の木星型惑星が隣接して形成しうるパラメーターを見出すことができた. ガス抵抗を含めた計算までは至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,惑星成長がある場合の惑星コアの安定性についてパラメーターサーベイを続ける.特に,今年度見つけたパラメーター領域で,2つ目の木星を成長させる計算コードを開発し,計算を実施する.ガス抵抗などの円盤の効果を含めた計算コードも引き続き開発していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
都合がつかず学会に参加できなかった.来年度以降の学会参加や研究会参加に充てたい.
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