現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①上層加湿による降水増大の雲物理学的機構を水平格子間隔2kmの雲解像モデルで調べ、台風に伴う北向き非地衡風による上層加湿が、中上層での雪の生成や上昇流の大きさの変化を通じて、遠隔降水量を変化させることを示し、論文投稿を行い、受理の目途をつけた (Saito, K., T. Matsunobu, and T. Oizumi, 2022: Effect of upper-air moistening by northward ageostrophic winds associated with a tropical cyclone on the PRE enhancement. SOLA, accepted)。また非地衡風2次循環による大規模上昇流の降水への影響を調べるための数値実験の検討を行った。 ②強い台風の接近時に、対流圏上層の偏西風や非地衡風が強められていることを、2010年から2020年までの11年分の民間航空機データのコンポジット解析に基づいて観測的に確かめ、学会発表を行った。 ③遠隔降水を引き起こした台風の特徴や発生環境場に関するこれまでの解析結果に、Qベクトルや前線形成関数を用いた力学的メカニズムの解析結果を加えて、投稿論文としてまとめた (Kodama, S., and M. Satoh, 2022: Statistical analysis of remote precipitation in Japan caused by typhoons in September. J. Meteor. Soc. Japan, in revision)。
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